こんにちはこばとーんです。
メロピデ要塞での世界任務で登場する怪しげな交渉術が本当に効果的なのか解説します。案外使える知識も入っているので、是非参考にしてみてくださいね。
この世界任務はラグ&ボーンショップで「交渉の芸術」という本を購入すると発生するので、よかったらやってみてくださいね。
今回お届けする内容はこちら
というわけで、今回の内容は世界任務『メロピデの日常・交渉の芸術』のネタバレを含みます。
とはいえ、本編には一切関係ない部分なのでガッツリ見ていただいても構いませんし、なんなら見てからのほうが楽しめる世界任務かもしれません。ご判断はお任せいたします。
ラグ&ボーンショップで交渉術の本を見つけた旅人とパイモン。他人との会話術について書かれた本に興味を持ちます。
また、本にはアンケートに協力してほしい旨が書かれた紙が挟まっていました。その案内に従ってメロピデ要塞の受付でアンケートに答えます。
ところが受付のモングラーヌはちょっと気難しい雰囲気でした。そこで、先程の『交渉の芸術』に載っている手法を試すんですが…どうもうまく行かなくて、結局「この本はあてにならない!」となるお話です。
実際、この本の内容がどうなのか見ていきましょう。
読み飛ばした人もいると思うので、読みながら進めようと思います。幸い章立てっぽい構成になっているため、章ごとに解説をしていきましょう。
私はよく商才に長けているとか、機を見るに敏だなどと言われるが、自分ではそうは思わない。機会というのは、作りに行くものだ。私は裸一貫から身を立てた。自分のほかに頼れる者はなかったが、交渉を通じて、より恵まれた者と手を組み、機会を作り出すことができた。 今までの経験が教えてくれたのは、ほとんどの問題は交渉によって解決するということだ。これが私の唯一の拠り所だ。 だから、諸君がみな私の言う通りに行動するようになれば、私などは大変生きづらい世の中になって、困ってしまう。
めっちゃ実用書っぽい文体ですw
ここに身近な仲間への感謝が乗っていれば完璧に洋書ですね。文章をまとめるのに協力してくれたリチャード、僕の健康を支えてくれたサリー、そして恩師のマイクに感謝を。みたいないやつね。
こういうちょっとした文章にも、ちゃんとそれっぽい書き方つかってるところがホヨバらしくていいですね。
ほとんどの交渉事は顔を合わせた瞬間に結果が見える。私をよく知る人たちはご存じであろうが、私は初め、砂漠で行商人をしていた。当時の私は一文無しで、大した商売もできなかったが、そこで重要な経験を学んだ。「はきはきとした声で話し、自信に満ちた印象を与えよ」 砂漠というのはよそ者に厳しい土地で、自分の信頼する人たちとしか取引をしない。彼らは外部の人間、もとい、その嘘を恐れている。では無一文の若者が、いかにして借用を勝ち取ったのか?後で分かったことだが、砂漠の部族が排外的だというのは、実は浅い見方だ。その本質は、彼らが自分たちに外来の品物の信頼性を担保する術がないことを理解していることだ。
そうなれば当然、確固たる証明を提供できなければ、信用は得られまい。あるいは、いかにそう感じさせるかという話になる。では、どうすればいいのか?威勢よく話すことだ。たとえハッタリでも、自信ありげにしていれば、いかにも余裕があり、借用に足る人間だと勝手に思いこんでくれることだろう。 だから私はとにかく大声で呼び込み、大声で喧嘩した。彼らは私の気迫に圧倒され、そして考えた。こいつはなぜこんなに毅然としているのか。いくらでも買い手がいるからではないか?一ならばその品物はきっと品質が良く、信用があるのだろう。こいつから買うのが一番だと。 そうして稼いだお金が私の元手となった。それからはご存じの通りだ。 本題に戻ろう。たいていの交渉の目的は、他人に自分の言うことを認めさせることだろう。ならば、もし機先を制して相手を気迫で圧倒できれば、そこで勝負あり。交渉の目的は達成されたも同然ではなかろうか。
実際、声の大きさは重要だとよく言われます。
【参考文献】 Robinson, J. & McArthur, L. Z. (1982). Impact of Salient Vocal Qualities on Causal Attribution for a Speaker’s Behavior. Journal of Personality and Social Psychology, 43(2), 236-247.
ブランダイス大学の実験によれば、録音した音声を5デシベルだけ大きくして聴き比べるだけでも、人の注意をより引けることがわかっています。
ほかにも声に関するデータは多く、わたしたちは無意識のうちに声から様々な情報を拾っているんです。例えば、声が低いだけでも地位が高く見られたりする傾向があったり、実際に声が低いCEOほど年収が高い、みたいな話もあります。
よくお母さんが電話に出るときに声が変わる、なんてあるあるネタがありますけど、あれも無意識のうちに相手へ良い印象をつけようとしておこなっていることです。
私達は、聞くときも話すときも、かなり声による印象を大きく受けているんですね。
声だけ聞いていても、「なんか自信がないんだろうな」とか「やたら自信ありそうだな」って雰囲気が感じ取れるじゃないですか。ああいうことです。
実は解説動画などでも、声の聞き取りやすさがかなり重要であることはよく言われています。音声がガビガビで聞き取りにくかったり、声がBGMに対して小さすぎて聞き取りにくかったりすると動画から離脱してしまうことが多いとわかっているんですね。
まあ、視聴者の気持ちとしてそれはわかりますよね。
内容以前に、何を言っているのか聞き取りにくいってだけでもストレスを感じますから、聞き取りやすさってのは本当に大切です。
また、面白いもので、声を張って喋ると自分自身が元気になって、より良い感じに喋れるようになるんですよ。「喋るだけでも大変なのにを大きくするなんてもっと大変」と思うかもしれませんが、実は逆で「声を大きくすると、自然と元気になる」が正しいんです。余談ですが、これもあってもっと声が大きく出せるような環境の部屋にいずれ引っ越したいなぁ、なんて思ってます。
なので、普段他人に向かって説明などをする必要がある人は、ちょっと元気に喋るようにすると不思議と言葉がスラスラ出るようになったりしますのでやってみてくださいね。
私は誘導質問術がとても効果的な交渉手段だと思っている。 難局を乗り越えるのにしばしば有用だ。 一度、璃月でモンドの商品を売り込もうとしたことがある。 その時の客層はモンドに縁もゆかりもない、生粋の璃月の一般人ばかりだった。彼らはよくわからない商品を買うことを恐れるため、売れ行きは良くないだろうと思われた。事実、私のスポンサーも諦めかけていた。 これは一見難題だが、解決するのは難しくなかった。客に対し、モンドはいい所だと言って、産地への好感そして信頼感を醸し出す。その感情は商品自体にも投影され、私たちの売り上げとなる。ではスポンサーには?もっと簡単だ。諦めさせなければいい。売れるだろうと思わせればいいのだ。もちろん、本当に売れそうかどうかはこの際重要ではない。 問題のありかは見つかった。後は解決するのみだ。できるだけ自然な解決策を取りたかったので、市場調査をすることにした。アンケートを取り、参加した人にはモラが当たると触れ込む。モラと聞けば、人々はこぞって集まる。 ここまで来ると、これが交渉と何の関係があるのか、と問う者もいるだろう。私はこう答える。交渉で最も強い武器とは、事実だ。しかし事実は操作できる。これはアンケートに見せかけた、あらゆる人を、自分の結論に導くためのもの誘導質問だったのだ。
事はこのように進んだ。私はアンケートに思考を誘導するような質問を忍び込ませる。例えば、モンドの理念は「自由」であり、璃月人の多くが求めるのは満ち足りた生活だと分析される。ならば、自由と満ち足りた生活には必然的な関係がある・・・という結論を人々に抱かせなければならない。 すると、次のような質問文になる。 あなたは気楽なスローライフが好きですか?自由な空気が好きですか?おいしいお酒は生活を豊かにすると思いますか?など。 それらには多くの人が「はい」と答えるだろう。続いてアンケートで、モンドはこのように自由で幸せな国ですが、この国のことが好きですか?と問う。当然、答えの多くは「はい」だ。この時点で彼らの中には、モンドの人は幸せだという印象が生じている。 そうすれば、私はこんな売り文句を掲げられる。私が売るのは品物ではなくライフスタイルー幸せというライフスタイルなのだと。後は、言うまでもないだろう。 もちろん、ひねくれ者や逆張りをしたがる者も一定数いる。 彼らはアンケートの結果を乱し、結果を見る人、つまりスポンサーの意欲を損ねてしまう。モンその影響を抑えるため、私は単純かつ強引な手段を取った。 アンケートの回答者に向けて、モラの額と回答内容に関係があると匂わせたのだ。モラの誘惑の前にはほとんどのヘソ曲がりも妥協し、美しいデータが保証されることとなった。
この章には、今まで説明してきた心理効果がたくさん含まれていますね。一つは社会的証明です。
アルハイゼン伝説任務の話で解説しているので、詳しくはこちらを見てみてくださいね。
簡単に言えば「みんながやっているから、私もやろう」といった性質のことで、今回のケースに当てはめるとアンケートをとっていることがそれにあたります。
みんなの行動をアンケート結果という形で提示することで、思う方向に誘導しようとしているわけですね。
人間には「自分の行動を一貫させよう」とする性質があります。たとえばワンピースで「海賊王に、俺はなる」と宣言したルフィを応援するする気持ちになるのも、彼の目標がブレないからです。
どんなに強い相手に出会っても、海賊王になるために行動し続けるからこそ、ルフィは魅力的なんですね。もし、「まあ、海賊王はいいか」って言い出して志を投げ出すような行動をしだしたら、ちょっと嫌な感じがしますよね。
この性質が一貫性です。言い換えると「約束を守る性質」とも言えますね。私達は他人と関わる上で約束を守れるかどうか、が非常に重要です。以前も説明した通り、一貫性のような性質は原始時代に備わった習性なのですが、狩りをする際に「俺が囮になるから、お前が仕留めてくれ」みたいな約束をしたのに守ってくれなかったら命に関わります。
このように重要な性質であるため、約束を守る人が多い集団は生き残り、約束を守れない集団は淘汰されました。結果、現代まで生き延びている私達人類は「約束を守れる人間達の子孫」なのです。
だから、「約束を守れる人は良い人間」「約束を守れない人間はやべーやつ」という感覚があるんですね。
そして、この性質が最も顕著に現れるのが「自分の発言」に対するときです。
他人に指示された内容を破ることよりも、自分で言ったことに対して矛盾してしまう方が嫌なんですね。
例えばダイエットをする際に、親から「揚げ物を控えなさい」と言われたのに、美味しそうだから食べてしまった場合、「そっちが勝手に言いだしたんじゃん!知らないよ!」なんて言えます。
ところが、自分で「今日から揚げ物食べません」と宣言したら、「他人が勝手に言いだした」とはしづらいため、守らないといけない気持ちが強く出ます。
なので、自分が宣言したことが最も破りづらい性質があるんですね。
この誘導質問という手法はまさに一貫性を利用した話術で、実際に存在します。
質問内容を工夫することで相手に意思表明をさせて、それを利用して本命の交渉内容を通す手法です。
以前紹介したフット・イン・ザ・ドア・テクニックと同じ理屈を使っているので、よかったらこちらの動画も復習がてら見てみてくださいね。
「交渉の芸術」に書かれている内容を例に考えてみましょう。
まず、顧客はモンドに興味がない璃月の人です。ここで「モンドが好きですか?」と質問すれば「興味がない」「わからない」みたいな答えが多く帰ってくるでしょう。人によっては気を使って「良さそうな場所」とか、逆張りをして「璃月のほうがいいに決まってる」みたいになるかもしれませんね。つまり、バラバラになりがちです。
しかし、先に質問を仕掛けたらどうでしょうか?
しかも、 それは聞いても不自然ではないもの。 つまり一般的な概念で良いとされているものを聞くんです。すなわち「自由っていいものですよね?」だとか「スローライフって憧れますよね」みたいなものです。
これには概ねYESの返事が帰ってくるでしょう。
そして、その延長で質問するんです「モンドでは自由を大切にしていて、人々はスローライフを満喫しています。いい国だと思いませんか?」と。
そうすれば先程自由やスローライフを肯定した手前、YESと答えないとおかしなことになりますから、ほとんどの人が「モンドはいい国だと思う」と回答します。
これが誘導質問です。
そして、こういった手法の面白いところは「仕掛けられたことに気が付かない点」にあります。
ほとんどの場合、質問に答えた人々は「自分の意志でモンドが良いところだと感じた」と考えます。実際には最初の質問によって誘導されているのですが、そこに意識が向くことはほぼありません。見破れたとしたら、よほどこの手の交渉術に明るい人でしょうね。
とはいえ、僕みたいにこういった技術に詳しい人でもこの効果は躱せません。実際に仕掛けられたら、気づいたとしても「はぇ〜、上手だな〜!本当にモンドが好きになっちゃった」と思うくらいに、わかってても気持ちが動いてしまうものです。
交渉の芸術の著者はこのテクニックを使ってアンケートを操作することで、社会的証明と組み合わせてさらなる効果を狙ったわけですね。
ちなみに、一貫性のような効果が働いてしまうおそれがあるため、アンケートの質問順は非常に重要だったりします。
フラットな結果が欲しい場合には質問の前後関係に気をつけなければいけません。逆に、絶対YESと言わせたいお願いをするときにはこの手法は相当使いやすい部類なので、積極的に狙ってみるといいでしょう。
モラでアンケート結果を操作する方法についても触れられていましたね。
やり方そのものは簡単で、モラとアンケート結果に関連性がありそうな感じで言及するだけ。例えば「アンケートにお答えいただいた方には、謝礼として金一封差し上げます。モンドに好意的な回答が集まると嬉しいとは思っていますね」くらいの話を2・3回くらい盛り込んでおけばいいでしょう。
人間の思考は連想が得意なので、物事や単語を並べられるだけで反射的に関係性や共通性を探そうとしてしまいます。
有名なものだとクレショフ効果というものがあり、連続した2枚の画像を見せられると、そこから勝手に意味を連想してしまう効果です。
例えば涙を流している人と、冷徹そうな男の画像を連続で見せられたら「あ、この男が酷いことをして泣かせたんだ」みたいな想像をしてしまいますよね。
クレショフ効果は映像に関してだけの話ですが、言葉やその他の情報に関しても私達は似たような反応を示してしまいます。モラ、アンケート、謝礼、モンドへの高評価、といったような要素が羅列されるだけで「モンドに好印象なアンケート回答をすれば謝礼が増えるかも」なんて邪推が働くのです。
一撃必殺の交渉手段は存在しないのか、という質問をよく受ける。そんな時はいつも、こんな言葉を答えに選んでいる。 「ええ、心から同意します。ただ・・・・・」私はこの言葉を万能の方程式と呼ぶ。理由はほかでもない、これが人間の心を逆手に取り、その弱点を容赦なく突くものだからだ。 なぜか?人間は承認を求める生き物だからだ。私とて例外ではない。かつて行商人として四方を旅し、エルマイト旅団や宝盗団、アビス教団に至るまで実にさまざまな人々と出会った。狂信的で気難しいアビスの魔術師でさえ、この言葉を聞いて考え直し、私の意見を求めたものだ。 断言するが、もし私がスライムやヒルチャールの言葉を話せたら、彼らでさえこの魔力に屈服させることができただろう 。だから私は誰にもこの言葉を覚えてほしくない。特に私の競争相手には。
交渉術でよく登場する話法に「イエスバット法」というものがあります。
その名の通りイエスで返してからバット(しかし)で切り返す話し方の順序を示した話法です。
僕はモングラーヌとの会話を全部この選択肢で返しましたが、なんだか空回りしてる感じがすごかったですねw
実際、もうちょっと工夫しないと会話で使いにくいことは間違いありません。
だって「ええ、心から同意します。ただ・・・・・」なんて返し方、会話として不自然ですよね。
しかも、万能だからといってこの返しをコピペみたいに使っていたら嫌がられるに決まっています。
実際、世界任務内でもなんだか滑ってる感じになってましたよね。
正しい名前はついてない方法なのですが、自分がアレンジしたバージョンを紹介します。
それは「感情に共感してから、素敵になるアイデアにつなげる方法」です。心から同意してしまうと、自分と意見が違うときに問題ですよね。
なので、事実や内容に同意するのではなく、相手の感情だけに共感します。
「わかるー、めっちゃ悔しいよね」とか「それは嬉しいわ!」みたいな、感情だけに同意する感じです。内容にはイエスもノーも言わない感じ。
なんなら、返事はそれだけで良いです。たいがい共感したら相手がまた話を続けてくれます。しかし、自分の意見を伝えたいときには、そこから続けて「こうするのもアリかもしれない」とか「更に素敵にするにはこうしてみるのも面白いかも」みたいな感じでつなげます。
この時、強制力がなるべくゼロに感じられるようにフワッと手渡してあげられるようなイメージで伝えるといいですね。
他人に強制されると嫌になることは間違いないので、極力その感じが出ないように「楽しんでたら思いついた」みたいなていを取ってあげられると受け取ってもらいやすいです。
いかがだったでしょうか?
結構目立たない世界任務ですが、わりとちゃんとした内容の本になっていて面白かったです。
また、興味深い題材みつけたら解説するので、お楽しみに。
それでは今回の情報も、あなたの靭性を楽しくするための一助として参考まで。
This website uses cookies.