崩壊スターレイル

アベンチュリンの性格分析!カカワーシャと比較して2面性を掘り下げよう【崩壊スターレイル心理学】

崩壊スターレイル心理学、アベンチュリン編。

こんにちはこばとーんです。今回はめちゃくちゃリクエストの多かったアベンチュリンを分析していきます。

不穏な登場の仕方をしたバージョン2.0から一転して、バージョン2.1ではほぼ主人公と言って良い動きをした彼の性格について深堀りしていきましょう。

というわけでネタバレ注意。

今回はアベンチュリンが登場した、崩壊スターレイルバージョン2.0〜2.3までのメインストーリーについて触れます。 特に2.1に関してはほぼすべてのネタバレと言ってもいい内容ですので、プレイしてから視聴されることを推奨します。

では早速行ってみましょう。

アベンチュリンのストーリー

まずはアベンチュリンがどんなキャラなのか見ていきましょう。ピノコニーの描写が複雑だったので、正直話しがわかってない、って人も多いと思います。

なので、まずは現時点でわかっているアベンチュリンの行動についてまとめてみていきましょう。

アベンチュリンは荒涼の惑星ツガンニヤでエヴィキン人の末裔として生まれます。エヴィキンとは蜂蜜という意味を含んだ言葉であり、なぜそのように呼ばれるかと言うと、彼らが非常に容姿端麗で美しい独自の瞳を持ち、高い社交性を発揮して人から好かれるのが得意な民族だからです。

一方、ツガンニヤは非常に乾いた土地であり、民族同士の略奪も激しく、小惑星が頻繁にぶつかる危機にも瀕している、とのことで、常に過酷な環境にある星であることが伺えますね。

そんな厳しい環境の中でも、アベンチュリンは生まれたときからとびっきりハードモードの人生です。父は彼が生まれる前に他界しており、母もギリギリで生きている状態でした。そして、雨が降らなければ間もなくアベンチュリンも生まれたばかりで死ぬことになってしう状況だったんですね。

しかし、母は祈りました。地母神の恵みがこの子にありますように、と。

すると、奇跡が起きます。雨が降ったのです。こうしてギリギリ生きながらえた彼には「地母神に愛された子」という意味のカカワーシャという名前が与えられました。

時は経ち、幼い少年となったカカワーシャは幸運を糧に勝負をするようになります。

当時のツガンニヤでは、「ナイフ」を意味する民族名を持つ種族「カティカ人」によって、エヴィキン人が虐げられている状況でした。そんな中、カティカ人へ賭けを挑んで勝つ少年がカカワーシャだったんですね。

なお、カティカ人への捧げ物を届けに行く際に父は亡くなっており、また母もカカワーシャと姉の眼の前でカティカ人によって殺されています。

この際、カティカ人から逃げ回る為に姉と血溜まりの中を転げ回り、父が残してくれた服をボロボロにしてしまったそうです。なお、それは今も保管してあるみたいですね。

そしてある時、スターピースカンパニーがツガンニヤにやってきます。彼らはエヴィキン人を庇護下に置きました。しかし、それらの行動に不満を抱いたカティカ人は、エヴィキン人を襲撃します。タイミングは、エヴィキン人にとっての地母神「ファンゴ-ビヨス」を称える祭りの日である「カカワの日」です。なお、この日はカカワーシャの誕生日でもあります。

カカワーシャは姉に説得され雨の中を逃げます。幸運にもその日は雨が振り、逃走の機が訪れます。しかし、姉はカティカ人につかまり、殺されてしまうのでした。カティカ人の鋭い笑い声や姉の結末がカカワーシャの耳には届いてていましたが、カカワーシャは姉の指示通り、振り返らず、必死に逃げました。そして、逃走は成功しましたが、この事件はカカワーシャの心に深い傷として残ります。

一時的に医療救済組織『トラウマ・フロント』に保護されますが、彼はカンパニーを通じて汎星系奴隷市場に売られてしまいます。そこでカカワーシャを買い取った男によって商品コードの烙印を押され、カカワーシャは他の奴隷とのデスゲームを命じられます。

しかし、彼は自身にかけられた枷と幸運を武器に、生き残ります。詳細は不明ですが、ここでの動乱は大きな事件となりました。『エイジハゾ・アベンチュリン事件』と後に呼ばれるこの事件の容疑者として、カカワーシャはカンパニーに捕まり、そしてジェイドの前に連れてこられます。

そこで、持ち前の魅力と交渉術を使ってジェイドに気に入られたカカワーシャは、カンパニーに入ることとなり、十の石心・アベンチュリンとしての名前を手に入れることになっていくのでした。

そして、本編での活躍に繋がります。

カンパニーから指示を受けたアベンチュリンは、ジェイド、トパーズと共に、ピノコニーを手に入れるために行動します。

カンパニーの狙いについては、詳細がまだまだ不明な点が多いです。バージョン2.3でジェイドが登場してファミリーと交渉しましたよね。そこでは列車組を上手にクッションとして利用し、取引を成功させたことは確かです。しかし、ジェイドの基石を持ち込むことがどれだけ重要だったのかなどの詳細はまだぼかされている感じがします。

ひとまず現段階では、アベンチュリが体を張ってことに関与した点が重要みたいです。今後、後日談や関節的な資料なので、保管されていくと思うので、期待して待ちましょう。

本動画ではアベンチュリンの行動がひとまずわかれば問題ないので、そこに焦点を絞って考えていくことにします。

スターピースカンパニーは、非常に巨大な組織で、資金力においても人材においてもリソースが豊富です。

そのため、交渉の方法は様々取れたはずですが、アベンチュリンは、自分の身を最も危険にさらす方法を選び、上司であるジェイドはそれを尊重したようですね。とりあえず今はそのポイントだけわかっていれば大丈夫でしょう。

さて、大きな方向性がわかったところで、現段階でわかっているアベンチュリンの具体的な行動をまとめていきます。まずバージョン2.0。

最初に、列車組がピノコニーに到着した直後、カンパニーのメンバーとして接触してきます。交渉上手な商人めいた立ち回りで姫子と駆け引きをして、最終的に列車組のチェックインをサポートします。

次に、1人になった開拓者のもとに現れて、突然脅迫のようなことをしてきます。これは黄泉によって妨害され、ひとまず撤退。

その後は夢の中でいろいろ行動していたようですね。画面上では花火と接触しているシーンが描写されました。かなりお互いを挑発し合う会話が展開されていましたよね。ここで、全貌を知っていそうな愉悦勢である花火から、ヒントとして「口の利けない人を仲間にしたら?」と言われます。

そして、最後はサムと交戦した直後に現れ、黄泉が怪しいと開拓者へ提案。だから黄泉とは距離を取って自分と協力関係にならないか?という話を持ち出してきました。開拓者側へのメリットとしては「真実を知りたくないか?自分と組むならそれが見られる」という条件を提示してきている感じですね。

そして、その「真実の一端」としてロビンが殺されている現場を開拓者に見せたところで、バージョン2.0は終了となります。

すっごい引きでしたよね。「ここで終わるのかよ〜」って叫んだプレイヤーも多かったんじゃないでしょうか。

つづいて、アップデートが入った次のバージョン2.1では、ほとんど主人公のような立ち回りをしていましたよね。

実は、ロビンが死んでいることはアベンチュリンにもよくわからないことだったんですね。というのも、ピノコニーでは人が死にません。なぜなら、カンパニーが調和の力を使って夢境を管理しているからです。よって、強力なアイオーンの力によってルールが規定されている状況で、それを敗れる存在は常識的に考えて2つしかありません。

一つは他の星神が能力を行使した場合。そしてもう一つは、その星神から大きな力を分け与えられている使令が動いた場合です。

そして、この段階で使令っぽい能力を持っているのは黄泉でした。実際のところ黄泉は使令に相当する存在というだけで使令ではないのですが、アベンチュリンの認識としては使令だと仮定しているようですね。なので説明内ではややこしくなるのでひとまず「使令」と表現しておきます。あしからず。

それ以外にも不明点はかなり多く、アベンチュリン自身も判断に困る状況でしたが、そこはさすが交渉上手。開拓者へは「よく考えて決めてくれ」と判断を投げた上でその場を離れます。

この段階において、アベンチュリンとしては花火にもらったヒントである「口の利けない人」を「声が出なくなったロビン」だと思っていて、ロビンをあてにしていました。しかし、ロビンが突然死んでいたのでなんとか対処を変えないと行けない状態だったんですよね。

さて、予想外のアクシデントはあったものの次の行動をしなくてはなりません。アベンチュリンはDr.レイシオと共にサンデーの元へ向かいます。目的は自分の基石を取り返すための交換交渉・・・と見せかけてジェイドの基石を持ち込むこと。そしてファミリーと交渉するための材料、もとい、弱点探しです。

スターピースカンパニーがファミリーの既得権益に割り込んで侵食していくためには、なにからしらの交渉カードが必要となります。そこで、「ロビンが死んでいる」という絶対にファミリーが隠したいであろう情報を利用することでブラフを仕掛けようとしているんですね。

アベンチュリンはこの段階では「ファミリー内部に裏切り者がいる」と踏んでいます。そして調和セレモニー前の大切な時期においては、ファミリー側は絶対にそれを隠したいだろうと予想しているんですね。一般的に、組織内部で裏切り者をあぶり出す疑心暗鬼状態は内部でのギスギスした関係を生んでしまいがちです。なので、外部から力のあるカンパニーが助力して「サンデーの代わりに反乱分子見つけてあげますよ」「そしたら助かりますよね?」「本当はお困りだったんですよね?」

という筋書きを描いているんです。

しかし、実際にサンデーにあってみるとそもそも条件を突っぱねられたどころか、「調和の洗礼」を受けさせられてしまいます。調和の力によって嘘を答えるとマズイ状態で質問をされ、正直に答えていきますが、最期のひっかけ問題で強制的に嘘を答えさせられてしまうんです。

サンデーは前もってレイシオを懐柔しており、レイシオから得たアベンチュリンの計画予想に従って箱の中身を抜いておきました。

そのうえで、「どう答えようと嘘になる質問」を用意することで絶対にアベンチュリンにペナルティが行くように細工していたんです。要するに、サンデーは調和の洗礼をつかいましたが真実を知りたいわけではなく、そもそも引っ掛ける気しかなかったわけですね。

「調和の洗礼」は嘘をついたため「調和の審判」へと変化し、アベンチュリンは17システム時間後に死んでしまう状態になりました。

さらに、その状態でサンデーはアベンチュリンを放りだし、犯人探しをやらせようとします。

まじでサンデーひどいですよねw

さて、ちょっとこのシーンは複雑なので、一端整理しておきましょうかね。

アベンチュリンは、ファミリーへ基石を提出しました。基石とは、スターピースカンパニーの幹部である十の石心が所持している特別な石。これを用いることで様々な能力を行使することができるみたいです。それもあり、命よりも大切と言われることもある重要なアイテムでもあります。それを一時的にでも手放し、別の組織であるファミリーに提出する、というのはめちゃくちゃ大変なことなんですね。

ところが、これはアベンチュリンの基石ではありませんでした。

カンパニーは存護を信奉している組織です。なので、その前提に合わせたそれっぽい理由として「存護のクリフォトと同じ色の石が基石である」として、トパーズの基石を提出していたんですね。

そして、ジェイドの基石を安っぽい宝石に混ぜてカバンに忍ばせておきました。

さらに、肝心な自分の基石は、なんと破壊してしまい、自分が宝石として身につけていたんです。

ジェイドの基石はその名の通り翡翠。そして、翡翠は砂金石とそっくりなことで知られています。

つまり、めちゃくちゃ価値が高い上に希少なアイテムである基石は、その見た目を知る人が少ないです。

なので、サンデーはそれっぽい石を見せられたら信じるしかありません。

とはいえ、星神の力が籠もったアイテムですから、サンデーほど力のある人物なら真贋はある程度見分けがつくのでしょう。適当な宝石でごまかすことはできません。

なので、本物が提出されたことは確かです。ただ、同時に、そんな大切なアイテムですから、他の十の石心が他人に基石を預けるなんてことはありえないことでもあります。

本物の、アイオーンの力が感じられる基石が目の前にあり、それを十の石心であるアベンチュリンが提出し、さらに必死に取り返そうとしている、というだけで本物であるに違いないんですね。

ただそれでも疑われる可能性があります。その際に、「実は本物は隠していました」と見えるように、ジェイドの基石を宝石に混ぜてカバンに入れておいたんです。

しかし、それですら「本当っぽい隠し事」でしかなく、本物は破壊して身につけていた。という三段構えのトリックを仕掛けているんですね。

一方、サンデーはアベンチュリンを怪しいと思ったので、先んじてDr.レイシオを懐柔します。

そこでDr.レイシオは「クリフォトと同じ色の石が本物と見せかけて、彼の基石はカバンに隠してあるんじゃないか」と推論してみせたんですね。

サンデーはその案を信じて、アベンチュリンを引っ掛けるためにケースから石を抜いておきました。

そのうえで、「ケースに入っているのは砂金石か?」と質問して引っ掛けたんですね。

サンデーとしては、「偽物を渡しておいて、私のことを騙せたつもりになっているようだけど、残念でした。友人は買収してあるし、嘘は見破ってあるぞ!

しかも、開けられるはずのないケースから中身が抜かれているなんてお前は気づかないよなぁ?

私のことを騙せていると思っているんだろ?だったら、こっちにもとっておきがある!調和の洗礼で嘘ついたらアウトにできるんだ!

そしてカバンの中身を抜いたうえで「なかに『入っているのは』砂金石ですか?」と聞いてやる。

そしたら、入ってないんだからお前は嘘をついたことになって、洗礼の罰を食らうんだよぉ」って考えてるわけですね。

ところが、実は違います。

アベンチュリンの計画通りだった場合でも、中にはいっているのは砂金石ではないからです。

サンデーが調和の洗礼みたいな能力を使ってくることは予想外だったので、アベンチュリンも「もちろん」と答える前にちょっと戸惑っているような間があります。

一度見てみましょう。

この間は調和の洗礼を前にして「嘘をつく覚悟」を示していたんですね。

面白いことに、結果として、全員が思惑通りの結果を得たことになりました。サンデーは騙す気でしかありませんでしたから予定通り。アベンチュリンは仕込んだ嘘のどちらかにサンデーが引っかかってくれて、ジェイドの基石をピノコニーに届けられればOK。そしてDr.レイシオは、予定通りに裏切っただけです。

実は調和の審判を受けた直後の会話でそれがわかるので、字幕解説つきで見てみましょう。

はい、やっぱりレイシオはやさしいですねw

二人とも意図的に詳細を伏せて会話しているので、ある程度予想になりますが、おそらくDr.レイシオは、アベンチュリンが基石をすり替えておくところまでは聞いていたのでしょう。

そして、博識学会所属のDr.レイシオとしては、ファミリーが所持している星核の研究データを手に入れたい。

アベンチュリンが最終的にファミリーとカンパニーの関係にどのような落とし所を見つけるかは、現場に合わせた彼特有のアドリブが入るので予想ができない。さらに、最終的に彼の「強運」によってアベンチュリン本人にすら予想がつかない方法で決着する可能性があります。

なので、最終的な方法までは聞いていなかったんでしょう。

ただ、Dr.レイシオとしては、性格の研究データさえ手に入ればよく、ファミリーとカンパニーの交渉がどうなるかはアベンチュリンの責任です。

そして、よくわからない「強運」などに頼った結論をDr.レイシオが進んで納得するとも思えません。

なので、確実に発生するイベントである「サンデーとの交渉」までの流れをコントロールして、双方望んだものを手に入れられればオーケーと考えたんだと思います。

そして、本来であれば、この先に関してDr.レイシオはほとんど責任を持つ必要がありません。しかし、彼はおせっかい焼きです。

詳しい説明はこちらの動画で行っているので、よかったら合わせてご確認ください。

アベンチュリンの性格からして、とんでもない危険に自分の身を投じて、ギャンブルをする事は目に見えています。

先んじて、ピノコニーにおける「死」の話も出ていたので、おそらくその辺であたりをつけて処方箋を書いていたんでしょう。当然、その場で書いたわけではありません。

アベンチュリンの性格をきちんと理解したうえで心配しているところがとてもレイシオらしくていいですね。

結構好きな関係です。

その後、アベンチュリンは花火を誘い出すために必死でお金配りをします。

そして現れた花火と会話をすることで「口が利けない人」のもう一つの意味を確信するのでした。口が利けない人とは、「一度死んで生還したが、舞台に上がって喋ることができない存在」というだったんです。つまり、ホタルですね。ホタルは一度死に、サムとして戻ってきていますが正体を明かすことができません。

11回も事実を伝えに会いに来ようとしていましたが、それは実現しませんでした。

そして、このことからアベンチュリンは夢の中で「盛大な死」を演じることを決心します。

ホタルに死を与えた記憶域ミームに頼る必要はありません。調和の保護を断ち切って、夢の世界で自分を殺せるくらいに特別な力があればいいんです。

そう、それが黄泉。使令クラスの力であれば調和の影響すら断ち切って自分を消せるはず。

でも、それは、消せるはず。成功するはず。という予想でしかありません。だから、賭けになるんです。

虚無の使令がどんな力を持っているのかもわかりません。ひょっとしたら、自分は跡形もなく本当に消滅してしまって死んでしまうかもしれないわけですから。

だから、怖かったんですね。

クラークフィルムランドへ到着し、死と向き合い出した彼には調和の洗礼による不調も相まって、過去の自分と未来の自分が見えるようになります。

最初こそ調和の審判による影響を疑っていましたが、最終的には自分の意識が生んだ未来の自分と過去の自分だとわかっていましたね。

ここ、非常に描写が上手な場面でした。というのも、実際にはアベンチュリンが一人で移動しながら独白しているだけのシーンなのですが、状況も相まって「他人視点でアベンチュリンに話しかけて来る存在」が対話することでアベンチュリンの内面や過去を掘り出してくれた感じになりました。

ウィンザー効果といって、自分で主張するよりも、他人が語ってくれたほうが説得力が上がる現象があります。まさにこの効果が働いているんですね。

たとえば、アベンチュリンのモノローグで、「僕は辛い人生を送ってきた」みたいな独り言が展開されたらちょっと気持ちが冷めると思いませんか?

自分で言い出すと「自分で言っちゃいます?それ?」みたいな感覚が出るんですよ。だけど、敵対している感じで「嫌な感じのアベンチュリン」が質問攻めにすることで、あくまで他人が聞いているていで構成できているんです。

めちゃくちゃ上手な演出だと思いましたね。

ここでは、幼いカカワーシャと、未来のアベンチュリンを通して、彼の過去や内面のトラウマ、そして実際には怖くて仕方がない本心が見られる場面が描写されました。

そして、過去の自分と手合わせをして勇気をもらい、自分の舞台へとあがるのです。

ロビンやホタルのような、ちいさな一つの死では、もみ消されてしまう。なので、できるだけ派手に大きな影響が出る死を演出しなくてはいけない。そのために、クラークフィルムランドから放送を流し、列車組と黄泉を呼び出しました。

そして、「自分の目的は開拓者の星核を爆発させて盛大な死を作ること」とブラフをかまして戦闘に入ります。

最終的に、黄泉が刀を抜いてアベンチュリンごと空間を切り裂き、自体は収集しました。

そして、虚無の空間で黄泉としばらく言葉をかわし、それぞれの道へと進みます。

ここでのアベンチュリンは警戒を解いて、非常に素直に会話しています。もし、見返す際はここでの会話が一番正直に心境を語っているので注目してみるといいでしょう。

黄泉との会話、レイシオからの処方箋、そしてカカワーシャとのやり取りを通して、本当は死ぬつもりなんてないことがわかります。

生命体が眠る理由は、死ぬことへの予行練習。そして、死んだら家族に会える。でも、それは今じゃない。姉さん達に誇れるように生きて、それから会いに行こう。

とってもやさしい表情なふたりのカカワーシャが印象的でしたね。

さて、バージョン2.3では打って変わってアベンチュリンがほとんど出ません。

本当にラストまで登場せず、「どうなったんだよ〜」と思っていたら、ラストのCパートで登場。

どうやら裏でいろいろ動いてたみたいで、そこをアルジェンティに助けられて帰還してたみたいです。砕いてしまった基石についての処遇などもこれから決まるみたいですし、詳しくは次回以降のアプデで語られると思うので楽しみに待ちましょう!

アベンチュリンとカカワーシャのビッグファイブ

さて、ではアベンチュリンのビッグファイブを見ていきましょう。ビッグファイブについてわからない場合はこちらの動画で詳しく説明しているので、よければどうぞ。

そして、今回はカカワーシャとアベンチュリンを比較してみたいと思います。というのも、実際に性格分析をしていたら、彼のインナーパーソナリティにかなりのギャップがあることに気がついたんです。

インナーパーソナリティとは、人間が場面場面に応じてキャラクターを切り替える性質のこと。例えば普段の性格よりも、職場での性格のほうが若干しっかりものになったりしますよね。そういう感じです。人間は周囲との関係性によって性格ユニットを切り替えて立ち回っているんですね。

事例として、前回の放浪者動画も参考になると思うのでこちらもぜひご視聴ください。

彼は、スターピースカンパニーの十の石心・アベンチュリンとしての性格として、人心掌握に長け、頭が回り、狡猾でしたたかなギャンブラーとしての性格を普段表に出しています。

しかし、その実、内面では不安が多く、こっそりとテーブルの下で手が震えているなど、優しいカカワーシャとしての性格を残しているんですね。

なので、その最たる例として、幼少期のカカワーシャと青年期のアベンチュリンを比較して見ていきましょう。

はい、比較してみるとこのようなグラフになりました。結構違う形になりましたよね。

一つずつ違いを見ていきましょう。

まず、神経症傾向。メンタルの繊細さを表す指標なので高いほど周囲の影響を受けやすかったり、イライラしやすかったりします。

カカワーシャは比較的安定したメンタルを持っていますね。カティカ人に勝負を挑んでみたりしても平気な顔をしているところなどをみても、メンタルの太さを感じさせます。とはいえ、姉から注意されている通り、幼さゆえに危険を認識しきっていないだけ、とも考えられるのでそれなりのところに落ち着いています。幻覚のカカワーシャからも神経質な面は感じ取れないので、概ね低く、安定していると考えていいでしょう。また、姉や母からしっかりと愛されていることも大きくメンタルの安定に貢献していると考えられます。

ところが、アベンチュリンになると、ちょっと神経質になりましたね。

花火とのやりとり、Dr.レイシオとのやりとり、サンデーとのやりとりを見ても、比較的細かいことでイライラしている場合が多く見受けられます。

そのため、神経症傾向はやや高めと言って良いでしょう。

ただ、そう言われると引っかかる感じがする人も多いと思います。

というのも、彼はとても肝の座ったギャンブラーでもあるからです。

あれほどの度胸を備えているのだから、神経症傾向は低いのではないかと思う人も多いはず。

しかし、彼は勝負の間でも、実は手が震えていたりします。

なので、肝の座ったギャンブラーである勝負師アベンチュリンと言う姿は、彼が演出して見せている「見せたい姿」と言うことができるでしょう。

言い換えると、インナーパーソナリティーによって、外向けの自分としての姿を定義して、そのように振る舞っているわけです。

逆のパターンをイメージしてみるとわかりやすいはず。例えば、メンタルがぶっ飛んでるルアン・メェイや、恐怖を感じないカフカなんかが勝負のテーブルについた場合、手が震えたりすることもないでしょう。

アベンチュリンはメンタルが繊細であるにもかかわらず、それを後天的な技術でカバーして、そう見せないように、立ち振る舞うことができているのです。

なので、実際のアベンチュリンのメンタルは繊細であると考えることができます。

次に外向性です。

カカワーシャに関してはそこまで多くのデータがあるわけではないのですが、カティカ人や姉と関わっている様子から察するに、それなりに外交的であるような感じがします。

考え方も比較的ポジティブで前向きなので、外構性は高そうですね。

ただし、内向性が全くないかと言えば、そんなこともありません。きちんと自分の内側と向き合っている感じがありますし、その観察をもとに、他人の感情を推論することもできています。

なので、かなりバランスが取れた雰囲気を感じるため、大体平均位かなぁといったところ。

一方は、アベンチュリンは外交側に触れていますね。

多くの人々とスピーディーに関係性を構築し、言葉巧みに交渉を行っていく姿は、外交生が高いと言えるでしょう。

また、外向性には、ポジティブな感情やフレンドリーさ、賑やかなことや派手なことが好きな性質も含まれています。

それらを考慮すると、ベンチュリの外向性は高いと言って良いはずです。少なくともカカワーシャと比べれば高いですよね。

外向性の内訳を見ると、高いと言わざるを得ない項目ばかりなので、ここで見ていきましょう。

まず、活動。じっとしているのが嫌いで、よくしゃべる性質です。まさしくそのまんまですよね。彼はすぐに行動しますし、ペラペラとよくしゃべります。もう満点と言っていいんじゃないでしょうか?

次に支配。他人を導いたり、コントロールしたりするのが、好きな性質です。これも交渉事を有利に運ぶのが、得意なアベンチュリンらしく、とてもひでた性質ですよね。

次が群居。賑やかな環境が好きで、グループに入るほどエネルギーが増える性質です。これもかなり適している感じがしますよね。

さらに、次が興奮追求。刺激が強い環境を好み、他人と戦うのも好きな性質です。もうアベンチュリンを表していると言ってもい位ぴったりな性質ですので、これは間違いなく満点でしょう。

そして最後が注意獲得。他人に注目されたり、大勢の中で目立つのが好きな性質です。これも該当しますね。実際のところ、いろいろな手段が取れたはずの交渉ですが、1番目立って派手な手法を選択します。なので、これもほぼ満点と言って良いでしょう。

というわけで、アベンチュリンは、外向性の塊のような人物ということです。

次に、誠実性を見ていきましょう。カカワーシャに関しては、非常に素直な少年ですから、誠実性が高いといえます。描写が少ないので、判断しづらいところではありますが、お姉さんとの約束をしっかり守っていたりするので、比較的高いと判断して良いでしょう。

アベンチュリンとしては、意外なことにかなり高いです。彼は無謀なギャンブラーとしての第一印象があるため、誠実性が低く、衝動的に博打を打ってしまうように見られがち。しかし、実際には、そんな事はなく、先ほどストーリー解説でお伝えしたように、めちゃくちゃ綿密に準備した上で計画的に全てをかけることをしています。

しかも、調和の洗礼と言うめちゃくちゃ苦しい呪いをかけられたとしても、それに耐えて、最後まで自分の計画を全うする辛抱強さを持っています。

なので、実は誠実性がめちゃくちゃ高い人物なんですね。

普通ギャンブルに溺れてしまう人は、誠実性が低くなるんですが、アベンチュリンの場合は、少し事情が違うので高くなります。非常に面白い造形のキャラクターですよね。

次が調和性。他人に親切で優しくする性質です。これはカカワーシャに関してはめちゃくちゃ高いですね。

お姉さんに対する態度ももちろんですが、幻覚として現れた際も、アベンチュリンに対してとても優しい接し方をしています。他人の気持ちを思いやることができる非常に優しい側面を備えていると考えられますね。

描写が足りない部分も多いので、そういった箇所は、アベンチュリンの独白部分などから推論して評価しました。

この調和性もまたアベンチュリンが外向けと内向けの性格を使い分けている大きな部分でもあります。

調和性が低い人物と言うのは、上に流されることがなく、交渉事が強いケースが多いんですね。

ホヨバースのキャラクターで言うなら、召使いやドットーレ、そして、アベンチュリンが該当します。

十の石心・アベンチュリンとしては、軽薄な言葉をさえずり、利益至上主義で、メリットのためなら手段を選ばず、手品のように、相手を軽やかに欺き、交渉相手を地獄の底に突き落とすこともためらわない、そんな狡猾な人物像を作り上げていますよね。

なので、外向き用のアベンチュリンとしては、点数が低く評価できるでしょう。

最後に開放性です。

知的好奇心の強さを示す指標ですね。これに関しては、アベンチュリンもカカワーシャもかなり高いといえます。既存のルールに縛られずに、新しいことへ踏み出していく姿勢を含んだニュアンスの指標なので、雰囲気に縛られることなく、カティカ人へ勝負を挑むカカワーシャの姿勢は開放性が高いといえます。

また、アベンチュリンとしても、ルールや常識といったものは、相手を欺くために利用すべきもの、逆に、その穴をつくための材料位に考えている節があり、本人の行動はルールに全く乗っていません。

なので、開放性はめちゃくちゃ高いと評価できます。

開放性が低いと保守的になり、ルールを守る性質が高くなるのですが、アベンチュリンにしろ、カカワーシャにしろ、全くそんな性質が見受けられないですよね。なので、これはぶっちぎりで高いです。

カカワーシャも十分に高いんですが、アベンチュリンの行動が常軌を逸しているので、ややアベンチュリンの方が高い評価になりました。

アベンチュリンとカカワーシャのダークトライアド

では、続いて2人のダークトライアルを見ていきましょう。

ダークトライアドとは、3つ揃っていると、危険な人物になることが多い性格の指標のことです。1つずつは、それほどやばいものではなく、時に有用な性質になることもあります。しかし、3つ揃っていると、大体危険な人物になるので、危険な三要素ということで、ダークトライアドと呼ばれています。

これも1つずつ見ていきましょう。

まず、ナルシシズム。自分が大好きな性質ですね。

これに関しては、高いか低いかと言う問題よりも良いナルシストか、悪いナルシストとかと言うポイントの方が重要です。

詳しくはこちらの動画で説明しているので、よかったらご参照ください。

簡単に説明すると、ナルシストだからといって悪い奴ではないと言うことです。

例えば、純美の騎士アルジェンティは、確実にナルシストです。ですが、彼は悪い人間でしょうか?

おそらく違いますよね。大体の人が好感を持っているキャラクターだと思います。

彼は、美しさに誇りを持っており、その誇りを守るために、努力を惜しみません。そのように、よくあるために努力できるタイプ、が良いナルシストです。

逆に、我が身可愛さで、論点をすり替えまくるようなタイプが悪いナルシスト。自分の地位を守るために自分を上げるのではなく、他人を下げることで保身したりします。

以前も動画で紹介しているドゥジェーくんやドットーレが正しく良い例ですね。

この観点で言えば、カカワーシャもアベンチュリンも良いナルシストです。少なくとも悪いナルシストではありません。

カカワーシャに関しては、これも判断材料が少なかったのですが、しっかりと自分を大切にする精神を持っています。なので、低いと言う事はないんじゃないかなと思った次第です。

アベンチュリンに関しては、武器としてナルシシズムを持っているようなニュアンスがあります。と言うのも、エヴィキン人は見た目が非常に美しく、魅力的。それによって、他人に気に入られたり、交渉事がうまくいったりすることが多いため、アベンチュリンのように上手に交渉ことを行おうと思うのであれば、きちんとそれを自覚する必要があるからです。

つまり、自分のルックスの良さに溺れているのではなく、交渉に利用できる手札の1つとして、自分の見た目をきっちり自覚しているが故にナルシシズムが高いって感じです。

もちろん、ある程度自分のことが好きなところはあると思いますけどね。

次に、サイコパシー。他人に共感しにくい性質を表す指標ですね。

カカワーシャに関しては、お父さんや、お母さんの死に際に関してのモノローグや、その後の独白によって、他人に共感している節が見受けられます。

また、幻として現れた際も、アベンチュリンに対して共感を見せている様子がありました。なので、基本的には高いと考えられますね。

一方、アベンチュリンですが、これがまた難しいところ。一言で言えば、ビジネスサイコパスとでも言いましょうか。

スターピースカンパニーの利益のためには、他人の事なんてどうも思っていないんだよ、アベンチュリンっていうのは、そういう男だ。と言うポーズを作るために、サイコパスっぽい行動をして見せています。

なので、外面上はサイコパスっぽく見えるので、この評価にしてあります。ところが内面はカカワーシャからそれほど変わっていません。

それもそのはずで、ある程度の共感能力がなくては交渉事を上手に進めることが難しいんですよね。

サンデーとの交渉もそうです。

こういう嘘を仕掛けておいたら、相手がこう思うはずだから、それに対して、裏をかこうと言う思考は、相手の感覚に共感できないと難しいんです。

ある程度は論理的に行うこともできるんですが、駆け引きの要素が多くなると、共感能力も必要になります。

このことからも、アベンチュリンは、ある程度の共感能力を備えていると思った方が正確な理解だと感じてるんですよね。

そんなわけで、ここでの評価は、外向けのアベンチュリンのサイコパス度を表示しておきました。ご留意ください。

最後に、マキャベリアニズム。

目的のためなら、手段を選ばない性質です。これはカカワーシャもアベンチュリンも結構高いですよね。

本来、めちゃくちゃ危ない行為であるはずのカティカ人へ喧嘩をふっかけるような真似をやってしまうようなところが幼少の頃からあります。

また、大人になってからも、己の全てを交渉のテーブルに上げてしまう面があります。

なので、これはどちらも高いと言えるでしょう。

2人の間に差があるのは、大人になってからの方が、その間に起きた人生経験によってより過激になっていることが理由です。

このポイントについては、この後性格を踏まえた上で掘り下げていこうと思うので、引き続き説明を聞いてみてください。

アベンチュリンの二面性

ここまで見ていただいてわかったと思いますが、アベンチュリンにはめちゃくちゃきわどい二面性が多数存在しています。

内側には心優しいカカワーシャの面が残っているのに、冷徹で、軽薄なギャンブラーのふりをして見せたり、

本当は誠実性が高く、コツコツ頑張れるのに、薄っぺらくて衝動的なギャンブラーを演じることもある

他人の気持ちに共感する能力はあるのに、それを優しく使っているように見せない技術も持ち合わせている

間反対と言えるような二面性が、同時に存在するのがアベンチュリンと言う男なんですよね。

じゃあ、外向けに作っているアベンチュリンの性格が100%嘘で、完璧に演じられているのか?と言えば、それも違います。

花火やサンデーに煽られるとイライラしてしまうのが表に出るように、100%仕事用のアベンチュリンと言うわけではなく、ある程度素の、自分が出てもいるわけですね。

なので、先程のビッグファイブの紹介も、便宜的にアベンチュリンとカカワーシャを分けることで説明する形にしましたが、実際には、場面場面によって、その中間の態度をとっていたり、片方に偏る場合もあるので、ほんとにケースバイケースな性格をしていると思います。

ただ、そんな実体があるようで、なかなかつかめない。彼の危うい二面性に、僕たちは惹かれているのかもしれませんね。

アベンチュリンの自己効力感

ルックスが良く、お金もあり、地位も権力もある。さらに、交渉術に長け、マジックのような小手先の技術も得意。もっと言えば、戦っても強いです。

そんな何でも持っているような彼ですが、同時にそれらが一瞬で崩れるような危うさも持っています。

と言うのも、彼には実感がないからです。

少し言い方を変えると『自分の力で人生を変える実感』がないと言えるのです。

心理学の世界には、自己効力感と言う概念があります。自分の努力や行動によって、確かに、自分の人生を変えることができる実感、を指す言葉です。

これが高いほど充実した状態だと言われています。

自己肯定感と言う言葉の方が有名ですよね。でも少し違う言葉です。この際覚えてみてください。

自己肯定感とは、その言葉の通り、自分を肯定している状態のことです。『自分はイケてるな』『わたしって自分のこと好きかも』と感じられれば、この概念に適合しています。

一方、自己効力感とは、今、現在の自分が好きかどうかは関係ありません。『自分の力によって、自分の人生を生きている感覚』なので、今の状態が好きでなくてもいいんです。

頑張ったらそれを改善していける実感、行動すれば、自分をもっと好きになれるぞ、と言う予感さえ持つことができればいいんですね。

それぞれ少しニュアンスの違う言葉なので、区別して覚えておきましょう。

基本的に、自己効力感の方が強力です。自己効力感があれば、「自分の力で人生を生きていける自分」を好きになれる可能性を高いですから、自己肯定感も上がります。

自己肯定感は、お金やルックスなどのステータスが目減りした瞬間に失われてしまうこともあります。しかし、自己効力感は『たとえ減ったとしても、頑張ればそこから増やしていける感覚』なのでより強い概念だと言えるでしょう。

さて、アベンチュリンですが、この自己効力感がめちゃくちゃ低いと予想できます。

と言うのも、彼の人生は、地母神の幸運によって、全てが左右されているからです。

彼は勝負で負けたことが1度もありません。掛けをすれば絶対に勝てます。私たち第三者からすれば、夢のような能力ですが、果たして、本人からしても、同じような感覚でしょうか?

おそらく違うと思います。

何をしても勝てる、という事は、そもそも賭けですらないんですよね。ところが、自分の頑張りでは、どうにもできないような運要素強めの勝負であっても、彼は絶対に勝つことができます。

言い方を変えれば、頑張ろうが頑張らなかろうが、勝てるんです。

つまり、自分の頑張りは勝負を左右しないってこと。

これは自己効力感がめちゃくちゃ下がる現象だと思います。

人間は生まれてから絶えず学習を続ける生き物です。学習と言うのは、算数や理科等のお勉強の事だけではなく、行動に関する条件付けを含みます。

ペットのしつけが例としてわかりやすいかもしれません。

トイレのしつけをしたい場合、間違った場所で排泄をしてしまったら叱ります。正しい場所ですることができたら褒めます。このように、行動に対して帰ってくる賞罰やメリットデメリットがあることによって、『正しい場所でトイレをすると良いことがあるぞ』という方向性を掴むんですね。

同じように、人間も行動とフィードバックを繰り返して、徐々に自分の中で計算式を作っていくんですね。

これは身の回りで起こるすべてのことに対して機能しています。

例えばコイントスをして3回連続で表が出た場合を考えてみましょう。次の4回目はどうなるでしょうか?

純粋に確率だけを考えるのであれば、2分の1です。ところが、人によってはこのように考えます。『今まで3回全部表が出ているんだから、次も絶対面だ』あるいは、このように考える人もいるでしょう。『今まで全部表なんだから、そろそろ裏が来るはずだ』と。

どちらも身に覚えがあるんじゃないかなと思います。

しかし、先程も言った通り、冷静に考えれば、2分の1でしかありません。

ところが3回連続で起こった、と言うところから、意味を学習してしまい、自分なりの計算式で予想を立ててしまう。これも学習です。

アベンチュリンの場合、どんな勝負をしても絶対に勝ててしまいます。

普通だったら、買ったり、負けたりを繰り返して、勝つための工夫をしてみて、自分の中で勝ち方を見つけていったりするのですが、それがないんです。

なので、自分の力で勝てている感覚はかなり希薄だと思います。

さらに言えば、そんな状態なので、いつそれがひっくり返るかも分かりません。なぜなら、自分の努力ではどうにもならないから。

だから、今まで得てきた富や名声は、一瞬でなくなるかもしれませんし、逆に負債になる可能性すらあります。

あるのかないのかもわからない『幸運』というものに頼っていて、いつそれのそこが抜けるかもわかりません。

不安で仕方ない。生き方のはずです。

そして、僕はこれがアベンチュリンの二面性の根底にある要素だと思っています。

幸運と言う名の不幸

父さんもお母さんも、姉さんも、僕を幸運な子供と言うけれど、では、なぜみんな死ぬ必要があったんだろう?

だとしたら、どれだけの罪を背負って、僕たちは生まれてきたんだ。

アベンチュリンはモノローグでこのように語っています。

まさしく、この言葉の通りで、彼にとって地母神に与えられた幸運と言うのは、幸運なのか不幸なのかわからない白物なんです。

ただ、今のところ、すべての勝負で勝つことができている。これだけが事実。だからおそらく次の勝負も勝てるはず。

ある日、突然大負けをかまして全てを失うかもしれない。あるいは勝ち続けることで、とんでもない不幸に向かっているのかもしれない。

そんな正体不明の幸運に乗っかって戦うしかないのが彼です。

そして、『負けたことがない』と言う点が、彼のアイデンティティーでもあるため、ある日、負けてしまえば、彼のアイデンティティーは崩れてしまいます。

地母神の恵みによって、人生を意味づけられている少年は、逆を言えば、地母神の恵が亡くなってしまうことによって、人生の意味がなくなってしまうんです。

だからこそ、彼は全てをかけます。

どのみち負けてしまえば、人生の全てを失うから。中途半端に負けるのも大負けするのも変わらないから。

運と言う実在するのか怪しい薄っぺらいものの上に自分を乗っけている心許なさ。その薄っぺらなものによって獲得してきたすべての富や名声に意味は無いのかもしれない。

でも、今日も勝負をして、いつもどおり勝つ。それだけが、自分を確かめられる唯一の方法。

だから、全部をかける。オールオアナッシング。自分の命さえも賭けのテーブルに挙げられてしまう男は、独自の学習によって、この哲学にたどり着いたと言えるんじゃないでしょうか。

そして、それゆえに、彼には普通ではあり得ない思いきりの良さがあります。

まず彼は保身に走る必要がありません。負けた時は、命を含め全てを失うのですから、『あなたはいい人だから、今回のペナルティは減らしてあげるね』みたいなことを狙わなくていいんです。

だから彼は、勝つためのキャラクターになりきることに全てをかけます。

ツラの良い金髪の若造で、やたらと羽振りの良い成金で、カンパニーの利益のためなら、どんな手段でもとってくる商人で、そして、絵に描いたようなギャンブラー。

どんなに性格が悪く見られようと、構いません。

負けた後の理由なんて考えなくていいんですから。

わかりやすいキャラ付けで、相手に印象を持たせて、それを勝負に利用できればそれでいいんです。

相手を勝負のテーブルにあげることさえできれば、絶対に自分は勝てます。

それゆえに、アベンチュリンの交渉術は超一流です。

掛けのテーブルに上げることさえできれば良いので、その前段階をこなすための交渉術に全てをかけている人間なんですね。

そのためであれば、自分の優れたルックスや華やかな雰囲気も利用しない手はありません。

何よりもわかりやすい魅力ですからね。

そして、ステレオタイプのイメージ付けも、相手を誘導するための有効な手段になっているんでしょう。

実際、僕たちもアベンチュリンの第一印象に、あっさりと騙されてしまったわけですからね。

このように考えてみると、普通ではありえない位の二面性も理由が見えてきますよね。アベンチュリンは、幸運と言う名の不幸によって全てを決定されてしまったが故に、独自の考えを持ち、その結果、得意な二面性を備えていると考えられるんです。

さらに、この幸運と、不幸の二面性は、彼の破滅願望と向上心の二面性でもあります。

サンデーとのやりとりの中で、こんなシーンがあります。

彼は両親や姉をひどい目に合わせた世界なんて壊れてしまえばいいと感じるところもあるみたいですね。自分を生き残らせて、さらには、ここまでのし上げた存在が同じ幸運と言うのも、彼にとっては世界が許せない理由なんでしょう。

しかし、一方でカカワーシャとの会話の中で、このような発言もしています。

彼は「眠る事は死の予行練習だ」と語り、「いつか死後の世界で家族に会ったときに、誇れるような人物になるまでは死ぬことができない」とも語っているんです。

この発言の二面性は、彼の人物像をいっそう深くして、魅力的にしてくれているように感じます。

1件、矛盾してるように感じる発言ですが、実はちゃんと筋が通っているんですよね。

それは家族への愛です。世界が許せないのは、大好きな家族をひどい目に合わせたから。自分がまだ死ぬべきではないのは、そんな大好きな家族に誇れるようになりたいから。

ちゃんと理由の芯として、家族への愛があるからこそ、彼の魅力をぐっと引き立てる複雑さとして、描写が成功しているのではないでしょうか。

まとめ普通ではありえない。奇跡的なバランスのキャラクター

いかがだったでしょうか?僕としては、ぶっちゃけ、心理分析史上1番難しいキャラクターでした。

マジで複雑だった。個々の現象を説明することはできるんですけど、体系立ててまとめた上で、わかりやすく不要の部分を省いて、グラフに落とし込むのが本当に大変でした。

彼は、生まれた時からありえないはずの幸運がずっと続いていて、それによって、人生感や死生観を全て形作られてしまった人物ともいえます。

そんな実在しなさそうな背景を持っているにもかかわらず、人格造形的には理にかなった存在になっているところが、本当にホヨバースの凄さを改めて感じました。

それぞれの性格特性で、奇跡的に正反対の性質を合わせ持つアンバランスな存在でありながら、きちんとその整合性を感じさせるストーリー展開。そんな複雑な人物像を語っているのに、きちんと感情移入させてくる見せ方。めちゃくちゃ上手ですよね。

アベンチュリンのパートをプレイして、彼のことが好きにならなかった人はほとんどいないんじゃないかと思います。それくらい魅力的なキャラクターですね。個人的には、及ばすが作り上げた奇跡の1つだと思います。

というわけで、アベンチュリの魅力を理解するためのきっかけになれていたら嬉しく思います。

では、今回の情報もあなたが崩壊スターレイルを楽しむための一助として

参考まで。

yoshiaki-kobayashi

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