動画と写真は何が違うのでしょう?
動くか、止まってるか? それはわかります。問題は『最適な使用用途』です。 動画と写真、それぞれの特性を理解しておくことで最適な方法を選べるようになりましょう。 今回は、プロカメラマンから見た意見をお伝えします。
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今は動画コンテンツが熱い時代です。 プロモーションや広告でも、写真より動画、文字より動画、と言われています。実際に効果も高いんですよね。
なので、「これからは動画の時代だ」なんて言われます。
でも、少し注意してほしいのです。 なんでもかんでも動画にすればいいと言うわけではありません。 動画には動画に合ったコンテンツ、写真には写真に合ったコンテンツがしっかりと存在します。向き不向きを理解した上で活動しないとコストパフォーマンスの悪い動きをしてしまう可能性が高まるんです。
コンテンツの向き不向きを考える上で、 重要となる考え方があります。それがフラッシュ型とタイム型。 ちなみに僕の造語ですので、検索しても他に情報はありません。
ただ、造語とは言え、この軸を取り入れることによって、かなりコンテンツを整理して考えることができるんです。
それぞれ解説しますね。
フラッシュ型コンテンツとは『一瞬で理解できるコンテンツ』です。写真や文字が該当しますね。交通標識などのアイコンも同じです。
言い換えると、動きがなく静的で、 一覧性の高いもの、という感じ。
タイム型コンテンツとは『インプットに時間を要するコンテンツ』を指します。代表格が動画ですね。ラジオや、音楽も該当します。一瞬で理解することが難しく、時間の経過を必要とするコンテンツのこと。
例えば情報収集をしたいとき、動画を参考にすると『動画の再生時間』が強制的に発生します。 倍速再生などを用いれば、多少のショートカットができますが、コンテンツを順番通りに消化する必要があることに変わりはありません。
しかし、紙媒体は少し違います。 文字の情報は『飛ばし読み』ができてしまうため、必要な箇所に素早くアクセスして、最短時間で情報の取得が可能です。また、戻ったり止まったり自由にできる点も違いますね。
もちろん、読む速さに依存するため、一概に文字が早いとは言い切れません。とはいえ、この性質が大きな違いであることはわかっていただけたと思います。
ピンポイントで情報取得がしたい場合、動画はどうしても時間がかかってしまう弱点を持っているんです。
では逆に、動画最大の強みとは何でしょう。 それは『強制力』。
『必ず決まった順番でコンテンツを受け手にインストールできる』とは、
『必ず決まった順番で感情を動かすことが可能』ってことです。
これは心理学の世界でいうところの『アンカリング効果』。 直前に見聞きしていた内容に印象引っ張られてしまう特性のことで、 すべての人間に備わっています。
例えば、貧困でガリガリに痩せた難民の子供→大笑いする政治家、みたいな順番で映像を見せられると、僕たちは反射的に関係性を構築してしまいます。「私腹を肥やす政治家のせいで、苦しんでいる人々がいる」みたいに勝手に想像しちゃうんですね。
2つの映像には全く関連性がないかもしれないのに。
それくらいインプットする順番は大切なんです。 この順番を強制できる『動画コンテンツ』は 心理的に見れば非常に強力なものだと言えるでしょう。
マーケティングの世界では「感情を揺さぶれ!」とよく言います。
良い感情か悪い感情かは関係がありません。とにかく『振れ幅』が大切だというのです。 実際、ダイレクトレスポンスマーケティング会のボス、ダン・ケネディもこの手法をよく使います。彼はダイレクトメールを送るのですが、中身にナッツを1つ入れておくんです。そして1文添えられています。「Are you nuts?」と。
和訳すると「お前バカじゃねえの?」って感じ。
なんでそんなことするんだよ!? と感じてしまいますが、実際に効果が高いから行われているんです。
「愛情の反対は憎悪ではなく、無関心」なんてよく言いますけど、まさにこれです。 相手を不快にすることでも構わないので、とにかく感情を動かすことで印象を残しているんです。
マーケティングとして最悪の結果は、相手に気にも止められず、記憶にも残らないこと。 だからこそダン・ケネディーは相手を怒らせてでも印象残しているといえるんですよ。
科学的にも「感情と記憶の関係性」 は明らかになっていて、強い感情を持った時ほど記憶に残りやすいことがわかっています。 彼のやっている事は合理的なんですね。
しかしまぁ、ダン・ケネディーの例は極端な話。 僕たちが取り入れるならもっとマイルドな手法でいいと思います。
話を本題に戻しましょう。動画は感情を揺さぶる能力が強力であるため、宣伝に非常に有利だと言えるんです。
文字や写真などのフラッシュ型コンテンツは、時間的な自由があります。試しに、あなたが写真を見たときの状態を思い出してみましょう。 旅先で友達と撮った写真を眺めて、あなたの中にはどんな変化が起きているでしょうか?
おそらく、その写真について思いを馳せるだけでなく、 写っている瞬間の前後の事や、関係する事項を思い浮かべているはずです。
そうです。フラッシュ型コンテンツは『思い出すトリガー』になってくれるのです。『想像のトリガー』 と言い換えても良いでしょう。
文字も同様です。小説を読んでいるとき、あなたは「文字の形」を認識しているのではありません。文章によって描かれている風景を想像しているんです。
このように、フラッシュ型コンテンツは想像をめぐらせる自由が確保されている点が非常に強いと言えるでしょう。
フラッシュ型とタイム型ははっきりと分けられるものではありません。 なだらかなグラデーションを描きます。
例えば先程の例で上げた小説。 文字媒体ではありますが、じっくりと時間をかけてストーリーを楽しむ要素の強いコンテンツです。 つまり、基本フラッシュ型ではありますが、タイム型の要素をかなり含んでいるタイプといえます。
一方、同じ文字媒体でもイラストの多いビジネス書等はフラッシュ型の特性が強くなります。 内容さえ理解できれば良いので、時間の経過は必要ないわけですね。
つまり同じ写真や動画といった媒体であっても、状況によってはフラッシュ型とタイム型の属性が混ざることがあります。
この属性やバランスを意識した上でコンテンツ制作を行うと、目的に合った内容に纏め上げることができるでしょう。
最後にもう一度まとめておきましょう。
以上の特徴を把握した上で、それぞれに合ったコンテンツ制作を心がけていきましょう! ではまた!
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