“ととのう”ってどんな感じなんだろう?
素朴な疑問。昨今のサウナブームで「ととのう」が一般に知られるようになりました。しかし、微妙に正体がわからない概念でもありますよね。そこで、自分の身体を使っていろいろ測ってみたのでちょっとまとめてみようと思います。
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ひとまず暫定的な結論を先にお伝えします。
1セットだけサウナに入って気持ちよくなるためには心拍数(bpm)が重要。
自分の場合
を目安に入浴すると気持ちよくなれます。
ただし、僕はもともと心拍数が多い方。なので、数字はそのまま参考にしない方がベター。ご自身の健康状態と相談して無理のない範囲でサウナを楽しんでもらえるといいかと思います。
ちなみに、この手の心拍数は最大心拍数を基準に〇〇%と算出することが多いので、その方式でも書いてみましょう。
上記になりますね。算出の参考にしていただければ。
では、ちょっと細かく見ていきましょう。
土台となる情報として、研究論文を見てみましょう。
サウナを研究してる論文は結構多いんですよ。フィンランドをはじめ、色々研究されてるんですな。
例えば上記論文だと”週4回以上のサウナでアルツハイマーリスクが65%下がる”なんて結果が出てます。
他にも健康効果が確認されてるものはありまして、代表的なのだとこれ。
Acute effects of sauna bathing on cardiovascular function
心肺機能のアップが確認されてます。サウナに入るとしばらくの間血圧が(健康的な範囲に)下がってくれるみたい。これは嬉しいですね。
理由なんですけど、擬似的に”運動している状態”に近くなるかららしい。
実験だと70度のサウナに入っていて、サウナ中は心拍数が120bpmくらいまで上昇。これは中程度くらいの運動状態と近い数値なんですね。なので”運動に近い状態”を作ってるんじゃないかと。
ただ、”ととのう”を研究している内容はなかったんですよね。”relax”とかで検索してもそれらしいのは見当たらず。(ご存じの方いたら教えて下さい)
というか、そもそも”ととのう”って概念が日本固有な可能性もあるんですよ。
フィンランド人はととのい知らず!?サウナ文化研究家に聞いた「本場のサ道」
どうやら本場フィンランドでも”ととのう”って概念がないらしい。ということは、そもそも日本固有の考え方で研究がまだない可能性大。
今後のデータに期待ですね。
じゃあ”ととのい”の情報源としてはサウナー達の体験談などになるであろう、というわけでネットを漁ってみました。
【医学的に徹底解明!】 「ととのってみたい」と願うあなたに贈る! サウナで「ととのう」は、ウソ? 本当?
サウナーが言う「ととのう」ってどういう状態?「最強の温泉習慣」著者のドクターに聞いた
まあ、たくさん読んでみましたが、代表的なのだと上記を参考にしてみようかと。
しっかりとしたデータはやはりないものの、大枠の見解としては似たような感じ。
まあ、このあたりが共通見解っぽい。理屈としても妥当なところだと思うので一旦この仮設で検証していきます。
「ととのったと思う!」みたいな主観判断では心もとないので、客観的データをつかいます。ここでは先に紹介した実験でも使われていた心拍数を採用。ちょうど自分はAppleWatchを使っているので、データ収集に活用することに。
で、心拍数って測定機器によって差が出たりします。なのでご自身で試す際は利用する測定機器を一つに絞って行うといいでしょう。
いざAppleWatchで心拍数測定してみようと考えると、真っ先に思い浮かぶのが『心拍数』アプリ。
しかしです。心拍数アプリは一定周期ごとに心拍を記録するもの。なので記録の密度が薄め。Apple Watchを見た瞬間で測定してくれはするものの、サウナのように短時間での変化を追う用途にはマッチしませんでした。
上記のような感じで、振れ幅はわかるんですが変化は追いにくいんですよね。
そこで使ってみたのが“アクティビティ”の『ヨガ』です。
ヨガを採用した理由は下記。
Apple Watchに搭載されているアクティビティーは、ランニングなど移動を伴うスポーツの場合GPSを起動してトラッキングを行ってくれます。
移動速度なども計測するため、ちゃんと設定すればメリットがいっぱいあるんですね。
ただ今回はサウナ。移動を伴わないアクティビティーのため、最も近いであろうヨガに設定しました。
zonesと言う別のアプリと組み合わせて心拍計測を行った結果が次のグラフ。
実に見やすいですね!と言うわけで、この機能を使って観察することにします。
そんな具合で、Apple Watchの心拍測定を利用しながらひと月ほどサウナに通ってみました。定休日以外のほぼ毎日です。
結果を全て載せると長くなってしまうので、かいつまんでお伝えしますね。
なお、条件はサウナ93℃。水風呂20℃。毎回同じところで測定してます。スポーツジムで泳いでからのサウナなので、体調や条件は比較的安定してるはず。
サウナは3セットぐらい入るのが定番とされています。なので、まずは心拍測定も行いながら定番の時間で入浴を行いました。
3セット入ると1時間以上かかるので、できれば時短したいと感じた。1セット目から3セット目までで主観的な気持ちよさもそれほど変化がなかったので。
3セットだと条件が複雑になってしまうこと、時間がかかりすぎてしまうことの2点から、実験を1セットに限定することにしました。
大体毎回こんな感じのグラフになります。グラフが上がっているところがサウナ。下がり始めるところから水風呂。そしてクイッと上がるところからが風呂上がりです。
何回か試してみると下記の傾向が見て取れました。
ここから下記の疑問が思い浮かびます。
3セット行った時も、最後のセットが最も心拍数が高くなったことから、心拍数の落差が重要なんじゃないか?って疑問ですね。この点を次で検証しました。
とは言え無理は禁物。なので、主観的に『キツいわ〜』ってなるくらいを目安に測定。
サウナは長時間入っているほど心拍数が上昇しますが、もちろん無限に上がるわけではありません。私の場合、7分程度で170に到達するものの、そのあとは10分以上入ってても180〜185程度で止まります。12分以上はキツいので知りません(笑)
つまりこれがサウナでの最大値。
逆に、水風呂は2分〜2分半で80くらいまで降下。以降は4分くらい入っていても75〜72あたりで止まります。これ以上は普通に寒いのでやりません(笑)
なのでこのあたりが目安になりそう。
主観的な“ととのい”具合は、スッキリ感じるもののそこまで『気持ちいいッッッ!』って感じではない。なので最大値→最小値が答えでもなさそう。
つまり、タイミングや塩梅が重要なのでは?となります。
3番の段階でもわかった通り、心拍数は最大値でも最小値でも“ある程度”から変化が緩やかになります。
体感と照らしてみても、心拍の伸びが穏やかになる170程度のらいんから汗がブワッと吹き出して『サウナに入ってるぜ!』って感じになります。
水風呂も同様、『シャキッ』と気持ちよく身体を冷やせるのは心拍が勢いよく下がり終わったくらいまで。
というわけで、今度は時間ではなく心拍数ベースで入浴してみました。
はい、ほぼ正解まで来た感じがします。非常に気持ちいい。
心拍数をこまめに見ながら、170を超えて安定するあたりまでサウナに入り、水風呂に浸かって80を下回るくらいまで待つ。
これが1セットで“ととのい”に最も近づける入り方じゃないかと思います。
と言うわけで、僕なりの一番気持ちいい1セットの入り方が完成しました。
我慢大会のように長く入っている必要もありません。そして、サウナと水風呂合わせても10分かかりません。
サクッと気持ちよくなれる方法としては最高の出来ではないでしょうか。
ご自身で気持ち良い入り方を研究する際に参考にしていただければと思います。
ひとまず1セットでの結論が出たので、2セットならどうなのか?3セットならどうなのか?そのあたりを掘り下げてみたいですね。
また、“ととのう”を完璧に体験したとは言えなさそうなので、もっと気持ちよくなれる方法を探していきたいところ。
先ほどブログを書きながら情報を漁っていたら、良さそうな書籍があったので先ほどポチりました。こちらも参考にして引き続き調べていきたいと思います。
気持ちよくサウナに入る上で、セットとセッティングの話は欠かせません。これは薬物治療の概念で
のことを指します。平たく言えばプラシーボ効果なことですね。
面白いもので、私たちが飲む錠剤も“サイズが大きいほど”効き目が高くなる効果が確認されているんです。
つまり、“大きいから効き目が強そうだな“と思わせるチカラが働いて、実際に高い効果が出てしまうと言うわけ。
面白いですよね。
しばらくサウナの測定を続けてみる中で、サウナもまた同じであることに気が付きました。
やはり日によっては時間がなく、焦りながらサウナに入ったり、疲労感を抱えながら入浴する時もあります。そんな時は心拍状態もあまり良くありません。主観的にも気持ちよくないんです。
なので、気持ちに余裕を持って、しっかりサウナで“ととのう”つもりで入る環境作りもとても大切。
メンタル面のケアも怠らずにやっていただければと思います。参考まで
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