こんにちは、小林嘉明です。
今回は心理学を使ってお客様にマッチした接客をする方法を紹介します。
科学的に最も信頼性が高いと言われている『ビッグファイブ』をフレームワーク的に使う方法です。
覚えておけば一生使えるスキルなので、よければ使ってみてくださいね!
今回お届けする内容はこちら
早速ですが質問です。
最高のサービス・商品を提供したいですか?
おそらく、ほとんどの場合イエスですよね。ノーと答えるケースは少ないと思います。
では、『最高のサービス』とは?
答えは人によりけり。仕事ごとにこだわりポイントがあることでしょう。
しかし、共通するポイントもあります。
それは『欲しいものを与える』こと。
喉が渇いてる人には水を。雨に困ってる人には傘を。足が痛む人には歩きやすい靴を与えるのが最高のサービスです。
あれ?当てはまらないかも?
そう思ったあなた。おそらく潜在的ニーズを提供されているのかもしれません。ニーズには顕在的と潜在的の2つがあります。例えば今、あなたの喉が乾いているなら「水が飲みたい」と思っているでしょう。これは顕在的なニーズ。要するに『既にわかっている』ってこと。
反対に潜在的ニーズとは『今はわかっていない』ものです。友人に「そろそろお腹空かない?」と聞かれた瞬間に空腹に気がつく。そんな体験があると思います。これは『空腹ではあったが気づいていなかった状態』から『気づいた状態』になったんです。つまり自分では気づいていないけど状態として持っているニーズのことなんですね。
潜在的・顕在的を意識すれば、ほとんどの仕事はどちらかに当てはまるはずです。参考に考えてみてくださいね。
ここまでの話を踏まえると、サービス提供者である僕たちに必要な能力は『欲しいもの』を読む力だとわかりますよね。読むことができれば、当然提供することが可能になります。
しかし、『読み違え』がかなり多く起きているんです。
原因は「思い込み」。心理学的な言い方をすると『バイアス』になります。
例えば会社のメンバーで「新人のA君のこと、どう思う?」なんて話をした場合、人によって意見が違いますよね。
・スタイルがいい人だ
・肌がキレイ
・頭がいい
このように評価する場所が違います。これはなぜ起きるのでしょう? 実は僕たちは「自分の興味」で相手を判断しているんです。
・ダイエットに興味がある人は「スタイルの良さ」
・アンチエイジングに興味がある人は「肌質」
・勉強が好きな人は「知識」
自分の夢中なものから判断します。
コレ自体は悪いことではありません。しかし、ときに判断を間違えやすい材料を作ってしまうので注意が必要です。
あなたは、砂漠で喉がカラカラの人がいたらどうしますか?
そう、水を出してあげますよね。もちろん、自分に余裕があればですけど。非常にわかりやすい状態だと思います。
しかし、よく考えてみてください。「のどが渇いている」って本人にしかわからないんですよ。他人から見たら「元気がない人」でしかありません。そんなとき、先程のバイアスがあったらどうなるでしょう?
『元気がないみたいだね!食べれば良くなるよ!僕の持ってるポテチをあげよう!』
と善意でポテチの提供をするかもしれません。でも、これって逆効果。余計に喉が乾いちゃいます。ありがた迷惑なんですよ。
でも、善意なんです。以前自分が「食べることで元気になった」経験がある人はその切り口で物事を判断します。あるいはポテチにハマっている人なのかもしれません。いずれにしても、本人にとっては自然な判断。悪気はないのです。
そんなバカな、と思うかもしれません。
砂漠でフラフラの人がいたら「のどが渇いているに決まっている」「誰が間違えるんだ」。しかし、これこそ思い込みです。ひょっとしたら食中毒かもしれませんし、フラフラ歩く演技を練習してる役者さんかもしれないんです。
どんなにわかりやすい状況でも起こりうるのが「バイアス」の怖いところなんですよ。
すべての人はバイアスを持っています。賢くても、そうでなくても関係ありません。なので、意識してバイアスを取り除くように努力する必要があります。
・バイアスについて知る
・最適な質問を作る
上記2つが非常に重要な手段です。
実はバイアスの存在を知っているだけで、それなりにデメリットを軽減できます。なので、自分が関係ありそうなバイアスを勉強しておくことは非常に大切。
詳しいバイアスの種類はまた別の機会に解説しようと思うので、今は「〇〇に違いない」と思ったら要注意。疑うようにしてみる意識をもつだけでいいかと思います。
そして、今回肝心な内容はもう一つの「質問」。私達は疑問を投げられると反射的に答えを探してしまう習性を持っています。そのため、最適な質問を用意できるとバイアスから距離を取ったものの見方ができるようになるんです。
さて、この「質問」に入るために、まずはビッグファイブについて学んでおきましょう。
科学的に最も信頼性が高い性格分析と言われているのがビッグファイブ。様々な研究で利用されています。
平たく言えば「人間の性格を5つの軸で表現したもの」です。
いやいや、それだけで人の性格なんて割り切れないでしょ! そう思うかもしれませんが、そこは心理学者が頑張ってくれました。彼らは言葉に注目したんですね。
例えば「短気」「怒りっぽい」「イライラ」「沸点が低い」などは『怒りやすさ』みたいにまとめることができますよね。同じように「性格を表す言葉」をどんどんグループ分けしていったら『5つの軸』で表現できるよね、ってなったのがビッグファイブというわけ。
つまり言い換えれば『人間が性格を捉えている軸は5つだけ』ってこと。もちろん細かい例外なんかもあるんですけど、基本的にカバーできちゃうから科学的にも実験でたくさん使われているわけですね。
ビッグファイブはOCEANともいわれ、具体的な5つの軸は
知的好奇心の高さ
まじめさ、コツコツやる力
社交性、人が好き
他人へのやさしさ
メンタルの弱さ
上記の5つ。
5つの『軸』と言っているのにはわけがあって、例えば神経症的傾向が高ければ「メンタルが弱い」「傷つきやすい」といった感じになりますが、反対に低ければ「メンタルが強い」「安定している」と言えます。つまり、一つの軸のプラスマイナスで2つの側面を描写できるのです。
これらは高ければいいというものではなく、バランスや組み合わせによって「性格を表現している」だけです。数値が低いと悪いとは考えないように注意しましょう。
突然『開放性』なんて言われてもニュアンスがわからないと思いますので、もうちょっと詳しく見ていきましょう。
ビッグファイブは先程もお伝えしたとおり、複数の性格表現をまとめていったものです。なので一段回まとめられていない下位のカテゴリがあります。実際に正式なビッグファイブのテストを受けると下記のサブカテゴリもスコアが出ます。ニュアンスを掴むためにその項目だけでも見ておきましょう。
O:開放性
(空想、審美性、感情、行為、アイディア、価値)
C:誠実性
(コンピテンス、秩序、良心性、達成追求、自己鍛錬、慎重さ)
E:外向性
(温かさ、群居性、断行性、活動性、刺激希求性、よい感情)
A:調和性
(信頼、実直さ、利他性、応諾、慎み深さ、優しさ)
N:神経症傾向
(不安、敵意、抑うつ、自意識、衝動性、傷つきやすさ)
この並びを見るだけでなんとなくどんな性質かちょっとつかみやすいかと思います。
ビッグファイブは試験を受けることで確認することができます。
NEO-PI-Rと呼ばれるもので、全部答えると40分位かかるシロモノです。けっこう大変ですよね。
http://www.saccess55.co.jp/kobetu/detail/neopir-ffi.html
ですが、もうちょっとお手軽に高精度な結果を得る方法もたくさん研究されています。それがショートビッグファイブ。10問程度の質問で正式なビッグファイブとそこまで差がない結果が得られるテストです。便利っすね。
やり方は簡単。下記の質問に0(まったくあてはまらない)〜4(完全にあてはまる)で答えてください。
質問
1.私は、初めての人に会うのが好きで、会話をするのが好きで、人と会うのを楽しめる人間だ。
2.私は、人に対して思いやりがあり、その思いやりを行動に移し、他人を差別しない人間だ。
3.私は、きっちりと物事をこなし、手際よく行動し、適切に物事を行おうとする人間だ。
4.私は、いつも心配事が多く、不安になりやすく、気分の浮き沈みが多い人間だ。
5.私は、知的な活動が得意で、創造性が高くて好奇心があり、新たなことを探求する人間だ。
6.私は、恥ずかしがり屋で、物静かで、人が多いパーティなどは苦手な人間だ。
7.私は、すぐ思ったことを口にし、冷淡な面があり、他人に同情を感じることはめったにない人間だ。
8.私は、あまり考えずに行動し、さほどきっちりは行動せず、ギリギリまで物事に手を付けない人間だ。
9.私は、たいていリラックスしており、落ち着きがあり、めったに問題について悩まない人間だ。
10.私は、物事を現実的に考え、伝統的な考え方を好み、めったに空想などで時間を浪費しない人間だ。
採点法
質問6〜10につけた点数を、次のように変換する。0 → 4, 1 → 3, 3 → 1, 4 → 0。
上で変換した点数を、以下のように足し合わせる。
質問1+6=外向性
質問2+7=協調性
質問3+8=誠実性
質問4+9=神経症傾向
質問5+10=開放性
引用元:パレオな男「3分で自分の性格を正しく理解する「ショートビッグファイブ検査」」
よかったらスプレッドシートで自動計算するツールも作ったのでどうぞ。
みんなで使うために編集不可にしてあります。ダウンロード、もしくはコピーして使ってくださいね!
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1hJGmR8YR2QrAHAQfq9UreikbrniQEOISnXKjGkbUc-0/edit?usp=sharing
さて、なんとなくビッグファイブがわかってきたでしょうか。
ここまではビッグファイブを「自分に使う」状態でしたが、ここからは「他人に使う」フェーズです。
最初のバイアスの話を思い出してください。私達は相手を「自分の興味」で読んでしまいます。その枠を広げるために『ショートビッグファイブを質問化』して『フレームワーク』としてつかってしまおう、という趣旨です。
フレームワークとは分析に使う「軸」のことです。4C分析やSWOT分析などいろんな分析がありますが、結局は「決められた軸においてどれくらいか?」という考え方になっています。
なので、同じようにビッグファイブを『分析軸』として考え、相手を測る用途につかってしまおう、というコンセプトです。
例えば美容室でシャンプーしてもらっているとき「かゆいところはございませんか?」と訊かれたらどんな状態になりますか?
おそらく、頭皮に感覚を集中して「かゆいところを探す」のではないでしょうか?
『質問』は僕たちに強力に作用します。訊かれた内容に意識が向き、そこを探すようになってしまうんです。
つまり、一人の人間について考えるとき「いい人かな?」と考えると「いい人の側面」がよく見つかり「悪い人かな?」と考えると「悪い人の側面」が見つかってしまうわけですね。
なので、両面から質問することが大切。
先程のショートビッグファイブ質問を見てもらえればわかるとおり、協調性ならプラス側とマイナス側で質問が作られています。まさしく、この両面から質問する状態を作っていると言えるんですね。
ただ、ショートビッグファイブの質問を丸暗記するのは骨が折れますよね。
そこで、質問を簡略化して覚えるスタイルがおすすめ。
+知的好奇心旺盛かな?
ー保守的かな?
+コツコツやるタイプかな?
ー飽き性かな?
+人懐っこい?
ー人が嫌い?
+優しいかな?
ー冷酷かな?
+メンタル弱いかな?
ーメンタル強いかな?
これくらいなら意外と覚えられます。もしニュアンスがわからなくなったらもとの質問やサブカテゴリを参考にしましょう。入り口はこれくらいが使いやすいのです。
僕は0〜5までの6段階で評価して足し算する形式にしています。(選択肢は6択が精度が高い研究があるため)もちろん、マイナス側は引きます。
0が極端に低い、1~2は低い、3が標準、4が高め、5は極端に高すぎる
上記くらいのニュアンスで考えてます。
ちょっとやってみましょうかね。
わかりやすいように、ここで例題をひとつ。アニメキャラの性格を分析してみましょう。
例題は今話題のシン・エヴァンゲリオンより『碇シンジ』です。
早速行ってみましょう。
O:開放性
+知的好奇心旺盛かな?
[1]
ー保守的かな?
[5]
理由:新しいものへの興味はそれほど作品内で描かれていない。とはいえそこまで高そうな印象はないので1くらい。
反対に、マナーやルールを遵守することで自分を守っているタイプだと思うので保守性が高めと予想。
合計値は[-4]
C:誠実性
+コツコツやるタイプかな?
[5]
ー飽き性かな?
[1]
理由:彼は料理もできるし勉強もできます。毎日家事をこなし、アスカやミサトの弁当まで作っています。さらに綾波に作ったことも。しかも彼女の嫌いな肉をちゃんと抜いて。ついでに楽器も弾けるので確実にコツコツデキる人。マメです。なのでマックス5の評価。
逆に飽き性なところは描かれてません。「目標をセンターに入れてスイッチ・・・・」ってずっとできるくらいですからね。なので0に近いくらいの1あたりと予想。
合計値は[4]
E:外向性
+人懐っこい?
[4]
ー人が嫌い?
[3]
理由:シンジはなんとなく内向型に見られがち。ところが外向性は高いと思います。トウジやケンスケと仲良くしているし、無口な綾波とも接近しようとがんばります。最終的に人類補完計画(旧劇場版)が発動した際も最終的に『他人と居られる世界』を望みました。そう、シンジは人が好きなんです。
反面、彼にはやはり内向性もあります。S-DATで耳を塞いで他人をブロックしていることが最たる例ですね。なので普通くらいの3
合計値は[1]
A:調和性
+優しいかな?
[5]
ー冷酷かな?
[0]
理由:シンジは優しいです。自分が殺されそうになっても3号機を攻撃できませんでした。また、周りの友人やアスカ達のことを気にかけています。文句なしに5だと思います。
反面、冷酷さは描写が無い。多分ほぼ0だと考えます。
合計値は[5]
N:神経症傾向
+メンタル弱いかな?
[2]
ーメンタル強いかな?
[4]
理由:これも誤解されがちなんですけど、碇シンジはメンタル弱くないんですよ。よく病んでるイメージあるからメンタル弱い印象与えてますけど、逆です。逆。だって、シンジと同じ境遇になったらどうしますか? 僕なら精神持ちません。めっちゃ頑張ってるし、メンタル強い方なんですよ。
とはいえ、たまに衝動で家出しちゃったりするんで弱い側も2くらい。でも仕方ないと思うけども。。。
合計値は[-2]
*神経症的傾向はマイナスほどメンタルが強い
みたいな感じです。理解の参考になれば!
ビッグファイブが判明したらどう使うのか? 例えばストレス対策。 人間はコミュニケーションを求める動物です。それ故他人と触れ合ったり、親切な行いをすることでストレスが軽減されることもわかっています。
しかしこれは、性格に依存する部分が大きいのです。
特にビックファイブの中でも『外向性』『調和性』が低い人はあまり向きません。 他人と関わることがあまり好きではなく、親切度も低いからです。
つまり性格にあった行動が大切ってこと。
接客時に行う提案でも、相手の性格に合わせた内容を提示できるとより良いですよね? ビックファイブフレームワークは相手に合わせた提案をするために非常に便利なツールなんです。
いかがでしょう? 思い込みや決めつけによる接客を避けつつ、相手の性格に合わせたサービス提供が出来る状態に近づく方法だとわかっていただけたのではと思います。
練習すれば誰でもできますので、ぜひ取り入れてみてくださいね!
使い方や練習問題などを考え着いたらまた発信しますので、 よかったらSNSフォローかメルマガ登録よろしくお願いします。
ではまた次回!バイバイ!
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