ズバリ、進撃の巨人は『相互改変の物語』。
始祖ユミルが始めた業をミカサが終わらせる話、とも言えるんじゃないかと。
___こんにちは、小林です。今回は『ミカサの頭痛』『アッカーマン設定』『進撃の巨人』『始祖ユミルの選択』という大きな伏線をまとめてみようと思います。
一つの考察として参考にしてみて下さいな。
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ポイントは『進撃の巨人の能力』
進撃の巨人において最もキーになるのはやはり主人公・エレンが持つ『進撃の巨人』の能力。
『過去から未来まで全ての記憶を共有する能力』ですね。
この能力、不思議なことが多いんですよ。例えばジークとエレンが接触した際の描写。過去のグリシャに記憶上のエレンが干渉する姿が描かれてます。
ここでエレンは激おこ。つまり、エレンは未来までの流れを一度知っていて、その上で過去のグリシャに働きかけていることになる。
つまりこれ、過去改変なんですよね。
ただし、時間が戻ったりループしてたりするわけじゃないのが面白いところ。あくまで『進撃の巨人』が有する記憶だけが未来と過去を繋いでる。
なお、過去改変するくらい強力な使い方は『王家の血』がないとできないっぽい。グリシャに干渉した際も「ジークがいたからできた」旨を発言してます。
それ以外の記憶フラッシュバックは乱発的ですしね。
さて、次。
始祖ユミルも『進撃の巨人』の能力を持っていた?
実はもう1人、過去改変やってる人間がいるんですよ。それは始祖ユミル。
最終話、ミカサと始祖ユミルが会話するシーンで初代フリッツ王が槍に貫かれている場面が映ります。ここ、おかしいですよね?
本来の話では始祖ユミルが身を挺して初代フリッツ王を助けたはずです。
ここからわかることは『始祖ユミルも進撃の巨人の能力を持っていたのでは?』って話。
九つの巨人は始祖ユミルから分岐した物なので、始祖ユミルは全ての能力を持っていた可能性は高いですよね。
だから『初代フリッツ王が殺される未来の記憶』があり、それを阻止したところから巨人達の歴史が始まった。
つまり始祖ユミルは『フリッツ王が刺される世界の記憶』『代わりに自分が刺される記憶』両方を持っている。
そして、始祖ユミルは結末までの未来を知っていた。グリシャの先代『進撃の巨人』エレンクルーガーがミカサやアルミンの名前を知っていましたよね。ここから『進撃の巨人には結末まで見えている』ことがわかります。
現実の記憶と同時に『最終回までのルートを進まなかった選択肢の世界記憶』も持っているのです。
しかし『進撃の巨人』能力者は最終回までの正解ルートを記憶にしたがって選ぶのでイフは存在しない。つまりイフは進撃の巨人の脳内だけにある仮想世界みたいなものと言えるでしょう。
ここが面白い。
ミカサとエレンの駆け落ち
エレンと始祖ユミルの能力を踏まえた上で、ミカサとエレンの駆け落ちシーンについて考えてみましょう。
最終戦にて突如描かれた『戦うことをやめて2人で平穏に暮らすエレンとミカサ』の話です。
これは、記憶なのでしょうか?
それとも妄想?
僕は『イフであり、エレンの記憶』と『エレンとミカサと一緒に居たかった四年間を一瞬で実際に過ごした』両方だと思っています。
この説を説明するために5つの前提があるので先に説明させてください。
前提1アッカーマンに記憶改竄は通用しない
まず、アッカーマンは王家の記憶改竄を無効化できます。なので『偽の記憶』って可能性は薄い。
一方、アルミンやジャン達エルディア人は記憶操作されるのでエレンによる記憶操作がされていましたね。
前提2アッカーマンでも『道』は共有される
とはいえアッカーマンでも『座標』『道』の空間には入れます。エレンが全世界のエルディア人に宣言したときミカサやリヴァイにも伝わっている様子が描かれています。
前提3『道』は現実世界と時間速度が違う
『座標』や『道』のある空間は現実と時間の速度が違うようです。『何年もいた気がする』とジークが言っていたり、先程のエレンが全エルディア人に宣言する場面でも、現実には一瞬しか経過していない様子が描写されています。
前提4頭痛の正体はユミルの覗き見
じゃあミカサにおきる頭痛が記憶改竄のサインなのでは? と思うところですが、これもミカサによって「ユミルが記憶を覗いていた」ことが言及されています。
これについては思うところがあるので詳細は後述。
前提5エレンの本体位置を知っていたミカサ
そして、駆け落ちシーンが終わると『エレンの本体は口の中』となぜか知っているミカサ。
記憶改竄ではない点を考えると、あの瞬間にミカサは『道』を通じてエレンと時間を共有したと考えられます。
おそらく、現実世界では一瞬でしたが、2人にとってはエレンの寿命が尽きるまでの四年間を平和に過ごしたのではないでしょうか?
だってエレンも『死にたくない!ミカサといたい!』って駄々こねるくらいミカサ好きなんだもの。
そして、様々な覚悟や情報、そして愛情をもらっていたんじゃないかと。
だから本体位置もわかるし、エレンの気持ちも覚悟もわかった。なにより、ミカサがエレンを殺す覚悟が出来上がった。
だって1番反対していたミカサですよ。それくらいないとエレンをあんなに穏やかな顔で殺せないと思うんです。
きっと2人は4年間を実際に過ごしたんじゃないかな、いや、そうあって欲しいなと、2人のファンとしては思うのですよ。いいじゃないですか、その方が。
1話冒頭の『行ってらっしゃい、エレン』
ここで気になるのが一話冒頭の伏線っぽい描写。
樹の下で寝ているエレンをミカサが起こすシーンですね。「行ってらっしゃいエレン」と言われたイメージと目を覚ました直後のミカサが重なり、髪の長さが違う点に言及する、あの場面。
「進撃の巨人」は未来の記憶を見ることができます。だから巨人を継承したあとのエレンなら「未来の記憶」として「ミカサとの時間」を垣間見てもいいでしょう。
しかし、エレンは冒頭のシーンでは巨人を継承していません。
その直後にやってくるライナー達の襲撃直後くらいに継承してるんですよ。なので進撃の巨人の能力だと無理筋っぽい。
じゃあ、なんで冒頭エレンは「長い夢」を見ていたのか?
たぶん、これは始祖ユミルの力なんじゃないかな、というのが僕の予想。だって、「長い夢」を見ていたのはユミルですから。
設定変更の可能性高め
ただね、これってどこかで設定変えた感じがするのも事実。
というのも、アニメ版だと「行ってらっしゃいエレン」はないんですよ。削除されてる。
だから諫山創先生はアニメ化段階までで設定固めて、意味を変えたんじゃないかな、とも思う。変更後は作劇的な「これからの予感」みたいな場面であり、能力によるものじゃなくなった感じが強い。
最終的な『行ってらっしゃいエレン』ダブルミーニング説
もし、設定を初期と変えていたとしても、最終的に『行ってらっしゃいエレン』発言があったのは事実です。では、なぜこのセリフがあるのか?
ミカサとエレンには『この4年間が終わったら現実に帰ってくる』ことがわかっていたのだと思うのです。
ここまでの状況から、エレンの本体の場所など、現実の情報を持ったまま『四年間の世界』に行っていたことが伺えます。だから、この幸せな二人だけの世界が終わったら一旦離れ離れ。そして、エレンを自らの手で殺すことも覚悟出来ています。
だから、一度離れる「行ってらっしゃい」であり、死んでもきっといつか再開したい願いを込めた「行ってらっしゃい」のダブルミーニングなんじゃないかと。
「行ってらっしゃい」は「一度離れるけど、また会える」ニュアンスのある言葉ですからね。さよならでもなく、バイバイでもなく、ありがとうでもない。「行ってらっしゃい」はそんなミカサの祈りを含んだ言葉な気がします。
始祖ユミルがミカサとエレンを気に入った理由
最終巻でも始祖ユミルがミカサとエレンを気に入った理由は明らかになりませんでした。
ここまでの話を踏まえた上で、ある説を考えると筋道が揃うので最後に考察してみたいと思います。
始祖ユミルはエレンと同じ選択をした
- 始祖ユミルは「進撃の巨人」の能力によって「初代フリッツ王が死なない未来」を選びました。そしてその選択が「巨人による凄惨な未来を作る」こともわかっていた。でも、愛ゆえに自分の命を捨ててまで、愛する人が生きる世界を選んでしまった。
- エレンは「進撃の巨人」の能力で「愛する仲間やミカサ」が死なない未来を選んだ。そして、それが「地鳴らし」で人類の8割を殺す未来だとわかっていた。でも、愛ゆえに自分の命を捨ててでも、愛する人達の生きる未来を選んだ。
そう、エレンと始祖ユミルはやってることが一緒なんですよ。
だから始祖ユミルはジークではなくエレンを気に入った。そして、その愛を見守りたいと思った。
始祖ユミルはミカサが知りたかった
ミカサの頭痛は「始祖ユミルが頭を覗いていた」ことが原因だとわかりました。
なぜ、始祖ユミルはミカサの頭を覗く必要があったんでしょう?
おそらく「ミカサが始祖ユミルと同じ愛を持っていながら、相手を殺す選択肢を選び、愛を全うすることができる存在」だと知っていたからじゃないかと。
- 始祖ユミルは愛する人を永らえさせるため、自らを殺すことで愛を全うした。そして世界に業を残した。
- ミカサは愛する人を殺す道を選び、エレンを殺すことで愛を全うした。そして始祖ユミルの業を祓った。
エレンが始祖ユミルと「共鳴関係」にあるとすれば、ミカサは「対」の存在とも言えるんです。
劇中、ミカサの頭痛は何度かありました。その共通点は「仲間やエレンが死に直面した状況」です。始祖ユミルは「ミカサが愛する人の死に直面した時どんな気持ちになるのか」知りたかったのではないでしょうか?
それは自分の選択が間違いでなかったことの確認であり、懇願であり、願いであるように思えます。
なによりミカサは「記憶改竄」を受けません。そこには純粋なミカサの気持ちがあるのです。他人に都合よく書き換えられることのない、ミカサの、ミカサだけの愛。それを始祖ユミルは知りたかったんじゃないかな、と。
まとめ:アッカーマン設定はとても重要
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「アッカーマンに記憶操作は効かない」設定があるからこそ、「4年間の世界」は偽の記憶ではないと定義できます。さらにミカサの愛が操作されたものではないことの証明にもなるので、非常に重要な設定ではないかと思うのです。
いかがだったでしょうか。僕、最終巻は涙を流しながら読みました。たまらなかったです。
まだまだ解釈の余地が設けられた作品だと思うので、またなにか思いついたら書いてみますね。最後に、素晴らしい作品を作ってくれた諫山創先生と登場人物のみんなに感謝をして終わりにしたいと思います。
本当にありがとうございました。そして、行ってらっしゃい。
はぐ吉 says
この考察が色んな考察の中で一番しっくりきました。ようやく最終巻を受け入れられた気がします^_^
yoshiaki-kobayashi says
はぐ吉さんありがとうございます!
より進撃の巨人を楽しめるきっかけになれたら嬉しいです^_^
c suzuki says
フリッツさんをかばってユミルさんが死んだのはユミルさんが娘達に行った記憶改ざんです
実際には初代タイバーさんによりフリッツさんは暗殺されました
喋ることができない奴隷のユミルさんはフリッツさんが命じたことにして自分の体を娘に食べさせて力を与え、フリッツさんの死によって滅亡したはずのエルディアを永遠の帝国にしようと画策します
次女のローザさんはユミルさんの背骨を食べて始祖の巨人の力を得ましたが、自分の子供に13年の呪いを背負わせるのを拒否して、人間の姿のまま巨人の力を引き出せるように子供の体を作り変えました
ローザさんの子孫はアッカーマンさんと呼ばれ、長い間王家の伝承の中だけの存在とされてきました
アッカーマンさんはユミルさんからすると大切な家族なので、何かというと干渉しようとしてきますが、一人で強く生きるアッカーマンさんは聞く耳を持ちません
唯一話を聞いてくれるのは、ユミルさんが巨人になった時のように、消せないほど深い傷を負った時でした
始祖の巨人に握りつぶされそうになったり、雷装で吹き飛ばされたり、刺青を掘ったり、エレンの夢遊病パンチのあおりを食らったりしたときです
実はこれらはすべて、ユミルさんがミカサ(イタリア語で私の家)さんと家族になりたくてわざと付けた傷なんですけどね
yoshiaki-kobayashi says
c suzukiさん、ありがとうございます!
ほえー、すっごい情報ですね。自分は外伝作品とか網羅できてないんですけど、ローザさんの話とか登場するエピソードあるんでしょうか? ぜひ読みたいです。
c suzuki says
個人の妄想です
yoshiaki-kobayashi says
c suzukiさんの考察だったんですね!すばらしい!アッカーマン一族誕生の流れに愛があって素敵だと思いました。本当に色々考えられる作品ですね。すごい。改めてコメントありがとうございます!
c suzuki says
ごめんなさい書き忘れました
アッカーマンさんはもともと巨人の力を持っているので
行ってらっしゃいで終わる長い夢を巨人になる前のエレンさんに見せたのもミカサさんかもしれませんね
ユミルさんが待っていたのはミカサさんだとエレンさんも言っていたことですし