今回お届けする内容はこちら
原神心理学、放浪者編
こんにちはこばとーんです。
リクエストを大量に頂いていた、放浪者・スカラマシュの性格分析やっていきます!
人気キャラなことはもちろんですが、性格的にもかなり特殊な状態にあるので、結構分析のしがいがありました。
早速行ってみましょう。
ネタバレ注意
まず、放浪者の話はめちゃくちゃ時系列が複雑なので、ネタ元を紹介します。次のコンテンツをまだプレイしていない人は要注意。
モンドの期間限定イベント『帰らぬ熄星』
魔神任務 第二章・第三幕『千手百目の浮世』
魔神任務第三章第五幕『虚空の鼓動、熾盛の劫火』
魔神任務間章第3幕 『伽藍に落ちて』
楓原万葉の伝説任務『阡陌で故人を知る者無し』
稲妻期間限定イベント『光華容彩祭』
公式動画 エピソード放浪者『灰燼』
公式キャラクター実践紹介『今昔孤独』
公式ストーリームービー『「神」意』
聖遺物ストーリー『華館夢醒形骸記』
スメール期間限定イベント『盛典と慧業』
他にも細々とした資料や言及がありますが、基本的に大きく登場する場面は上記を押さえておけばいいでしょう。概要欄にURLがあるものは載せておくのでご参照ください。
また、期間限定イベントは現在プレイできないため、開催後に原神を始めた人は過去動画を見てみるのもいいでしょう。そちらも載せておきます。
放浪者のこれまで
放浪者の性格を分析する前に、そもそも話が長くて覚えてない、って人も多いと思うので放浪者の人生を振り返っておきましょう。
まず、彼は雷電影によって『心』の容器として製造された人形です。
後に作られる雷電将軍のプロトタイプみたいなものですね。本当に試作品だったらしく、見た目や形状が雷電将軍と異なる点はそれが理由みたいです。
しかし、器物としても人間としてもあまりに脆いと判断されたため、秘境である借景ノ館に封印・安置されます。
長い時が経って、借景ノ館を桂木という男が訪れ、彼の封印が解けました。
当然、こんなところに封印されたまま生きている存在は人間ではありません。しかし、桂木や、桂木の仲間である丹羽という人物は彼を受け入れ、友人のような関係を築いて行きます。
なお、封印されていたときに身に着けていた飾り羽が、雷電将軍との関係を示す物品であったため、不用意に身分を明かさないようにと仲間たちが助言して、彼もそのようにしていました。
ちなみに、先程から「彼」と言っていますが、ここまで彼には名前がありません。あったのかもしれませんが、一切不明です。
ですが、ここから彼は「傾奇者」と呼ばれるようになります。おそらく人ならざる存在であることと、高貴な身なりからつけられたあだ名なんでしょうね。
傾奇者は丹羽と仲良くしており、彼から鍛造の技を教えてもらったりもしていました。特異な存在である傾奇者に対する意識は人それぞれだったようですが、とにかく丹羽は「一人の人間として」傾奇者と関わろうとしてくれていたんですね。
なお、この丹羽は楓原万葉の先祖にあたります。髪にメッシュが入っているところや、柔和な雰囲気が共通していますよね。
当時の稲妻では、自然発生する晶化骨髄を消費するためにたたら砂での鍛造を行う様式になっていました。そして、そこにフォンテーヌから来た技師、エッシャーが参加していたんです。
しかし、このエッシャーの正体はドットーレ。ファトゥス第一位の道化から司令を受けて稲妻に潜入していた博士だったんです。
ドットーレは潜入中に面白い実験素材を発見しました。それが傾奇者。おそらく雷神によって製造されたであろう、人ならざる器物に、ドットーレは興味を強く惹かれます。
そこで、道化からの依頼をこなしつつ、ドットーレ自身の知識欲を満たす行動に出るのです。
それがたたら砂の事故です。ドットーレは技師の顔を利用して穢れがあふれるように事故を演出し、そしてその解決方法を提示しました。
その解決方法とは、誰かが危険な炉心へ向かい、ある装置を使って汚れを吸収し、事態を収拾すること。
そして、ドットーレの計画が始まります。
正義感の強い丹羽は、自分が炉心へ向かうと覚悟を決めていました。そして同時に、エッシャーという男の言動が不審であることにも気づいていたんです。だから炉心へ向かう前に、エッシャーへ直接疑惑をぶつけました。
しかし、そこで正体を明かしたドットーレによって丹羽は殺害され、丹羽の心臓は「ある装置」に組み込まれてしまいます。
次にドットーレは何も知らない傾奇者へ声をかけます。「みんなお前を犠牲にしようとしている、お前がこの装置を持って炉心へ向かえ」と。
炉心へ向かった傾奇者には、凄まじい負荷がかかりましたが、装置のおかげもあり、穢れを吸収しきることに成功しました。そして、ボロボロになりながらもエッシャーに訪ねます「この装置が自分を守ってくれたようだ。中身は何だ?」と
エッシャーは答えます「丹羽様は罪を恐れて出奔されましたが、あなたへ贈り物を残されました。罪なき従者から奪った、あなたにとって念願のものであるとのことでした」
傾奇者は装置の中身を確認すると、そこには穢れによって干からびた心臓がありました。
怒りと悲しみが込み上げた傾奇者は、心臓を地面に叩きつけ、たたら砂を去ったのです。
時は少し経ち、傾奇者は少年とともに暮らしていました。「一緒にいよう」と約束するような関係になれましたが、彼は病弱で、あまり長くは生きられませんでした。
ある日傾奇者が家に帰ると、少年は亡くなっており、悲しみに包まれた傾奇者は再びその地を去ります。
こうして、傾奇者は三度の裏切りを体験しました。雷電将軍による裏切り、丹羽による裏切り、少年による裏切りです。
そして、徐々に怒りや悲しみが大きくなっていったんですね。
ある時、彼は雷電五箇伝を襲撃します。次々と流派は潰されていきましたが、一心伝の職人を襲撃した際、彼の顔を見て手を止めました。
彼の顔には丹羽の面影があったのです。傾奇者の心情ははっきりと描写されませんでしたが、思うところがあったのか、彼は丹羽の子孫を見逃しました。そして、そこで雷電影へと言伝を残し、「国崩」を名乗ります。
詳しい時期は不明ですが、このあたりから徐々にファデュイとして活動していたのだと思われます。
そして更に時は過ぎ、僕たちの知る本編中の活躍です。最初はモンドのイベントに登場しました。このときにはファデュイ執行官「散兵」になっており、かなり性格も不遜なものになっています。パワハラ上司っぷりがすごくて、デットエージェントたちがかわいそうでしたね。
そこからしばらく登場はなく、次に登場したのが稲妻です。幕府軍と抵抗軍が戦うなか、抵抗軍に「パワーアップする謎のアイテム」を提供する存在として登場しました。しかしアイテムの正体は邪眼だったため、普通の人間は寿命を削られてしまいます。ここで抵抗軍で主人公と仲良しになっていた哲平が死んでしまうことになり、怒りに駆られた主人公が邪眼工場へ向かうことで散兵と出会います。
ここでの会話もかなり邪悪な側面を見せており、哲平のこともあったのでかなりヘイトを稼ぐ動きでしたね。
最終的に、主人公は散兵の罠にかかってしまい気を失いますが、そこへ八重神子が助けに来て「雷の神の心」を散兵に渡します。
本来自分に収納されるはずだった神の心が返ってきた、と考えると感慨深いですが、彼が神の心を収納するには脆すぎる点は変わりません。
そこで、スメールで創神計画をしていたドットーレと手を組み、自身が神のコアとなることで神の心を扱えるようになろうとしました。
結果は本編で御存知の通り、ナヒーダと主人公の活躍により、正機の神は討伐され、散兵は神の力を失います。
神の心はナヒーダとドットーレの交渉材料として使われ、最終的に博士が持つ知識と交換という形でドットーレの手元に渡ってしまいました。
その後、散兵はナヒーダによって保護されており、彼女の手足としていろいろな手伝いをしていたようですね。そんなある日、スメールで出会った旅人とともに世界樹の秘密を探る任務に向かいます。
主人公の兄弟に関する情報を探るスカラマシュでしたが、どうやら情報はみあたりませんでした。しかし、世界樹に残された情報から、スカラマシュ自身に関する話が見つかります。
それは、たたら砂の事故における真実です。
神の心との交換交渉で手に入れた博士の記憶を見ることで、ドットーレ視点でたたら砂の事実を知ることができました。
この瞬間まで、スカラマシュは丹羽に裏切られたと思い込んでいましたが、実は丹羽は傾奇者を大切に思っており、最後の瞬間まで仲間だと思っていたんです。
さらに、自分を守ってくれた装置に入っていた心臓が丹羽のものであったこともわかります。やるせないですよね。
そして、それらを全て仕組んだのがドットーレであったことも明らかになりました。
全てがわかった上で振り返ってみると、散兵はひたすらドットーレの手のひらの上で踊らされていたことになります。
ドットーレはたたら砂への介入を手始めに稲妻での動乱を仕掛けたわけですが、邪眼工場もその動きの中の1ピースにすぎません。
そして、雷の神の心を回収させ、スメールで実験している自分のところまで持ってこさせて、さらに実験体として散兵を利用する。完全にドットーレに操られていたと言っていいでしょう。
散兵はドットーレへの怒りに燃えますが、同時に、自分が存在しなければよかったとも考えました。そこで、自身に残されたわずかな神の力で世界樹へアクセスして「世界から自分を消去する」行動に出ます。
この行動は一旦成功し、旅人を除く全ての人から散兵に関する記憶が消えます。同時に、過去にあった散兵の行動は別の人間が行ったことに変化していました。天目流のところに話を聞きに行くと、雷電五箇伝の襲撃が別の人間によるもの、と歴史が変わっていましたよね。
ただ、この世界改変で散兵の存在そのものを消去することは出来ませんでした。彼は記憶をなくしたまま世界を放浪する放浪者となっていたんです。
雷電影に不要とされたこと以外、記憶のない放浪者は旅の途中で世話になったスメールの商人を手伝っていました。そこで旅人とばったり出会います。
記憶のない放浪者は、非常に純朴な性格になっており、おそらく傾奇者として生きていた頃の状態に近いんでしょう。これまでの辛辣な口の効き方ではなく、非常に優しい口調に変化していました。
彼は自分にポッカリと空いた穴を自覚しており、それを埋めるためにナヒーダが保管しておいた「自身の過去」を受け入れると決めました。
記憶を再び手に入れた放浪者は、口調も元のキツイ雰囲気に戻ります。全ては元どおりのような感じですが、そうでもありません。
世界から散兵に関する記憶は消えました。しかし、彼自身にその記憶は残っています。自分の犯した罪が消えないこと、そしてその贖罪のために生きていく覚悟も決めました。なにより、ドットーレとは違い、全てを明かして尊重してくれた上で仲間に迎え入れてくれたナヒーダや旅人に感謝をして、彼らのために助力することを誓ったんです。
その後はナヒーダの監督の元、教令院にも所属して学術研究の傍ら、ナヒーダの手伝いをして過ごしています。
生徒からも人気みたいですね。盛典と慧業では「笠っち」として参戦していて、スメールに馴染んでいる様子が見て取れます。
今では、その特殊な生い立ちから、神に近い能力を持っていること、非常に高い戦闘能力、世界樹にアクセスもできる演算能力、そして世界の記録から消えた存在…と、暗躍させるには最適な能力を持つ存在となりました。
これからもナヒーダとのペアで主人公サイドを支えてくれる心強い味方として活躍してくれるのが楽しみですね。
人の性格は変わるのか
ストーリーからわかる通り、放浪者は3回も性格が変わっています。
名もなき人形だった頃の性格、ファデュイ執行官散兵・スカラマシュとしての性格、記憶をなくした放浪者としての性格、そして、記憶を取り戻してからの性格です。
おそらく、記憶をなくしている放浪者の性格と名もなき人形だった頃の性格は同じなので、そこを同一視すると、実際には3つの性格と言うことになります。
さて、ここで気になるのが、人間の性格は変化するのか?と言う点です。
これに関しては、心理学の世界でも様々な実験がされており、まだ結論が出ていないところではあります。
ただ、おおまかな研究の方向性を言語化すると次のようになるでしょう。
人の性格の半分程度は遺伝子によって決まっている。生まれた後の経験によって変動しやすい部分と変動しにくい部分がある。
この二つです。
具体的には、
調和性と誠実性は、加齢とともに上昇する可能性が高い。
外向性と解放性は、年齢によってあまり変動しない。
神経症傾向は、加齢とともにだんだんと低下することが多い。
要するに、性格は、遺伝によって半分位が決定されており、そこを基準に、人生経験や人間関係などから影響受けて、最終的な性格が形作られていく。と、いうことです。
ただ、これを人間ではないスカラマシュに当てはめて良いのかはは甚だ疑問ですよね。
とは言え、作劇の都合から考えると、この傾向が当てはまるものだと考えます。
何故かと言うと、私たちは性格が変わるかどうかの理屈は知らなくても、突然性格は豹変する事は無いと経験上知っています。そのため、キャラクターの生活が突然変わってしまうと違和感を覚えるんです。
ある程度現実に即した範囲内での変動にしないと、気持ち悪くなってしまうんですよね。なので、放浪者の性格変化も、ある程度現実の人間を基準に考えて良いような気がします。
ちなみに、人格が入れ替わる系のキャラクターの設定でも、実は、そこまで大幅に性格が入れ替わっているわけでもありません。ある程度、元の人格の特性を引き継いだまま、サディストの面だけ強調されていたり、マキャベリアニズムが強くなっていたりするようなケースがほとんどです。
こういった変動も、あまり大きく変えてしまうと、私たちが同じキャラクターだと認知できなくなってしまうことが原因で幅が決まっていると考えて良いでしょう。
傾奇者・スカラマシュ・放浪者のビッグファイブ
さて、では実際に性格を見ていきましょう。
ここでは最初に稲妻で発見された純粋無垢な性格をした状態を傾奇者、ファデュイ執行官として活躍していて邪眼工場などを運営していた時期をスカラマシュ、そして最終的に転生して仲間になった状態を放浪者と呼びます。
なお、ビッグファイブについての基本はこちらの動画で説明しているので、まずはこちらで基礎を抑えていただくと理解がスムーズ可と思います。良ければどうぞ。
では3人分、比較しながら見ていきましょう。
はい。こんな感じです。ざっくり言うと、傾奇者の性格とスカラマシュの性格が両極端になっていて、ちょうど中間が放浪者って感じになっています。
で、面白いのが性格特性によって変動している部分とそうでない部分がはっきり分かれたところ。
まずは変動していないところから見ていきましょうかね。
開放性に関してはそこまで変動していません。比較的、新しい知識を積極的に取り込む姿勢がありますから高めと言えるでしょう。開放性は、低いとルールに従って生きようとする性質が強くなり、高いとそういったしがらみを抜けて新しい知識や体験を求める性質が強くなります。
傾奇者としては、稲妻の鍛造技術を積極的に学ぼうとしたり、周囲の人間に対して興味を持っていて、なおかつ人間らしくあろうと感受性を高めようとした結果、結構高めな感じ。
スカラマシュとしては、邪眼作成などのアウトローなことに手を出す部分があり、開放性が高いと言えますね。また、ドットーレの実験に参加していた点なども開放性が高めであると言えます。
傾奇者からスカラマシュになるにあたって、他人への感受性などはちょっと下がったのですが、自分を変えたい欲求が強く出たことで結果的に同じくらいのバランスへ落ち着いた感じです。
放浪者としてはその中間って感じですね。スカラマシュとして持っていた「違う自分になりたい」欲求を果たして、もう一度他人と向き合う事になった結果、ほぼ傾奇者と同じ状態に戻ったようなニュアンスです。
誠実性も変動が少ない要素ですね。
傾奇者としては、丹羽や桂木たちとまっすぐ向かい合おうとする姿勢があるので高め。
スカラマシュとしては辛い実験にも耐え抜く為高め。
放浪者としては世界樹へのアクセスをきちんと計画してやり切る能力があるので高め。
開放性と誠実性が高いことから、時期によらず彼は知的探究心が強く、辛抱強くコツコツ約束を守りながら生きられる性格だと言うことがわかります。根はずっと真面目なんですね。
次に変動が小さいのが外向性。
実はこれもそこまで変動しているわけではありません。基本的に彼は内向的です。あまり他人と積極的に関わることはせず、基本的に自分の内側で考え事を好むタイプ。
ただ、外向性の内訳には「他人への支配性」と「注意獲得」という項目があります。この2つが結構変動しているんですね。
他人への支配性は「ひとの上に立つことが多い」といったの性質なので、スカラマシュ時代はファデュイ執行官としてかなり上の地位にいましたし、放浪者となってからは学院でそれなりに高い地位にいます。
そのため支配性が傾奇者時代よりもやや高い結果となります。
注意獲得は「注目されたい性質」です。その言葉だけだと目立ちたがりやっぽいニュアンスがあるので低そうな気がしてしまいますが、彼はずっと「僕を見ろ」「僕を見てほしい」「価値を認めてほしい」といった根源的な願望を持っています。
そういった意味でこの要素は非常に高いです。
傾奇者時代は「自分が何者かわからない」「人間に混ざって暮らしたい」といった願望からやや高めとなっており、スカラマシュ時代は「自分を見捨てた雷電将軍や世界へ自分を認めさせる」願望がありました。彼のキャラクター性を成す根幹性質の一つと言えますね。
ところが、放浪者となってからは、旅人やナヒーダに認めてもらえました。そして、学院の学生からも人気なようです。居場所を見つけられた今はこの欲求が小さくなっている、といった変化がありますね。
こう考えてみると、非常にエモい変化のある性格特性といえるでしょう。
同じ要因で変化しているのが神経症傾向です。
メンタルの過敏さを表す指標なので、よく苛ついている彼は比較的高めといえます。
傾奇者時代は自身の存在の不安定さゆえにメンタルが揺さぶられやすく、スカラマシュ時代は自身の欲求が果たされないことでメンタルが不安定でした。シニョーラに煽られた際も、すぐにイライラしていましたよね。
正直、傾奇者時代はさほど描写がないのですが、メンタルが仮にアルハイゼン並に強かったらドットーレの囁きに惑わされたりもしなかった気がします。そのあたりの予想を含めてこの点数にしています。でも、大きくズレてはいないはず。
しかし、放浪者になったあとは、メンタルが安定しています。これはやはりナヒーダや旅人に認めてもらったり、学院に居場所ができたことが大きいでしょう。やっぱり人間関係は人生において大きな要素になり得るんですね。
そして、最も変化が大きいのが調和性です。
これは、説明するまでもなくわかると思いますが、傾奇者時代は穏やかで柔和な人格をしています。同じ人格である記憶喪失状態の放浪者でも人助けもしていますから、かなり調和性が高いと感じられる性格をしていますよね。
ところが、スカラマシュ時代は残虐非道。邪眼の件をはじめとして、かなりひどいこともやっています。もはや真逆の性質に反転してしまったと言っていいでしょう。
そして、最終的に放浪者となり、かなり親切な部分を取り戻します。根本となる部分は傾奇者に近いのですが、世界と自分の罪を知った彼は「主人公やナヒーダのためなら、自分が彼らにできない悪の部分を背負おう」というダークヒーロー的な立ち回りを選んでいるため、ほんの少し傾奇者よりも低めの評価となっています。
傾奇者・スカラマシュ・放浪者のダークトライアド
続いて、揃っていると危険な人格特性であるダークトライアドも見ていきましょう。
ダークトライアドについては、こちらの動画で感覚的に捉えられるよう説明しているので、よかったら見てみてください。
3人分比べるとこんな感じになりました。
これは大雑把に言えば、傾奇者時代はとても数値が低く「良い人」であるといえます。そして、スカラマシュ時代はダークトライアドがどれも高く、危険な人物であったと言えるでしょう。
そして、最終的に、放浪者となったときにはだいたいその中間である日本人平均程度におさまっています。
これも、ひとつずつ見ていきましょう。
まず、サイコパシー。他人への共感能力の低さを示す指標です。これに関しては、彼特有の事情がかなり大きく絡んできますね。
というのも、彼は人形として造られた経緯があるため、人間の心を手に入れたいと願う気持ちがありました。本人としては、自分に心がないと思っているため、相手の気持がわからないと思い込んでいるのですが、実際には結構人間に共感していますし、感情豊かです。
例えば、世界樹の問題解決に向かう際も、嫌味っぽく発言していますが、基本的にパイモンや旅人の気持ちを慮ってフォローするような発言をしています。
他にも、シニョーラとの煽り合いも、相手が苛つくことを感覚的にわかっているから煽りができているんですね。また、感情面が動きやすいからこそ、煽り返されるとイライラしてしまうんです。
結構感情があるというか、かなりエモーショナルなタイプですらあります。
そんな彼ですが、傾奇者時代は自我が薄く、基本的に他人に合わせているためサイコパシーが低く見えます。なので、低めで採点しました。
一方、スカラマシュ時代は、邪眼事件など、かなり他人にひどいことをしています。相手の気持を無視しているため「行動としてはサイコパス性が高い」と言えます。
また、最終的な放浪者としては、先程も説明したダークヒーロー的立ち回りのためにちょっと悪いこともやってみせるような感じでいますよね。そのため、少し高めで採点しています。
なので、本当は共感性がかなり高いんです。しかし、自分の立場や在り方によってサイコパス性が高いようなポーズを取って見せてる感じですね。
次にマキャベリアニズム。目的のためなら手段を選ばない性質です。
これも、傾奇者時代はそもそも判断材料がないというか、傾奇者自身がからっぽなのでまだ目的が定まってない感じです。だから低めになっているようなニュアンス。
言ってみれば子供みたいなものなんですよね。幼いうちって目的がそもそもあやふやだったりするので、判断が難しい、って感じです。
スカラマシュ時代まで進むと、明らかにマキャベリアニズムが強くなっていますよね。数々の非道な行いは手段を選んでいるとは思えませんし、自分自身を実験に投じてしまうところも手段を選んでいません。
文句無しで高いです。
そして、最終的に、放浪者になると落ち着いていますね。手段はナヒーダや旅人が納得してくれるようなものに控えるよう心がけています。ただ、ちょっとダークヒーロームーブをかますので、若干高め、ってところ。基本的には低いと思っていいでしょう。
最後にナルシシズム。
自分大好きな性質のことですが、この指標に関しては度合いよりも、方向性の方が重要です。良いナルシストと悪いナルシストがいる、ってことなんですね。
良いナルシストは、自己評価が客観的であり、ある程度固定されています。そのうえで自分を高めるために努力します。
一方、悪いナルシストは相手に合わせて都合よく自分の評価を変動させます。マウントが取れるような評価軸を持ち出したり、自分の評価を差し替えたりして、都合よく自分を美化します。
この観点で見てみると、確かに傾奇者時代からスカラマシュ時代でナルシシズムが大きく変化しているんですが、彼のナルシシズムは悪いものでは無いように思えますね。
というのも、悪いナルシストはドットーレのように自己の価値をすり替えてもそれを「嘘をついている」と認識することはなく、ガチで信じています。
一方、スカラマシュは自身を神に近い存在として定義して「神になろう」としました。その裏には、自分が神ではなく、神の試作品で、しかも捨てられた存在だという認識がしっかりあるがゆえの願望です。
悪いナルシストであれば本当に「自分は神である」と信じられたんでしょうが、スカラマシュはきちんと自己認識していたがゆえに苦しみ、もがいていたと言えます。
なので、「自分は神でありたい」という意識がナルシシズムとしては高く評価できるのですが、内容の質としては悪いナルシストではない、といった具合です。
放浪者となってからも、自分の特異性を自認しているがゆえのナルシシズムというだけで、彼のナルシシズム及び自己認識は非常に冷静と言えるでしょう。
愛着スタイル
さて、彼の性格をこうしてみてみると、基本的な性質は変化していないのに、周囲の環境などによって「他人との接し方」に差が生じていることがわかります。
心理学の性格分類には、この「他人との接し方」でタイプを分類する愛着スタイルというものがあるんですね。
良い題材だと思うので、愛着スタイルを紹介します。
愛着スタイルには3つのタイプが有り、それぞれ、安定型、回避型、不安型といいます。ここにさらに、回避と不安を両方備えたパターンを含めて4つで分類することが多いですね。
- 安定型とは、他人も自分も信頼したうえでコミュニーケーションが取れるタイプ。他人とほどよい距離を保ちながら接することができます。アンバーやジンさんなど、ぱっと見で「付き合いやすそうだな」と感じる人はだいたいこのタイプですね。
- 不安型とは、自分に自信がなく、つい「相手に嫌われちゃう!」と思いがちなタイプ。熱しやすく冷めやすい関係性を築く傾向があると言われています。コレイやカーヴェ、最近だとヌヴィレットなんかが該当しますね。
- 回避型とは、他人は頼りにならないと思っているタイプ。なので距離を置いたコミュニーケーションを取ろうとします。親密になるのを嫌うので、相手からは冷たい人だと思われがち。雷電将軍や凝光、シニョーラあたりが該当しますね。なんか近寄りがたい雰囲気出してる人はわりとこのタイプ。
ちなみに、完全にどれかに当てはまるというわけではなく、時と場合によって変化したりもします。
例えば凝光は普段回避型ですが、北斗船長と絡んでいるときや、甘雨・旅人などの信頼している人と接する時は安定型の傾向が強く出ます。
こんな感じで、結構時と場合によって変化するんですね。ただ、基本スタンスと言うか、平常時のポジションみたいなものってありますよね。それがタイプだと思ってください。
愛着スタイル、特に不安型かどうかは、他人から見た印象でほぼ正確に判定できるとされているので、もし知りたい人はまわりの人に聞いてみるのも手でしょう。
なお、スカラマシュは不安・回避の両方を備えたタイプです。
人間ではない自分、捨てられた自分、悪に染まった自分を認識しているので、基本的に「相手は自分を嫌ってくるだろう」と考えていますよね。もろに不安型の傾向です。
さらに、野望を達成するために他人はあてにしていません。大切な人間に裏切られ続けたことで、基本的に「他人は自分を裏切る」という指針で物事を考えます。
ある意味、彼の性格変化は愛着スタイルの変化とも言えるんです。
最初は安定型です。傾奇者時代は、丹羽や桂木たちを信用して接していました。自分が何者かわからない点によって多少不安型のきらいはありましたが、それほど強い傾向ではないでしょう。基本的に安定型です。
その後、大きな事件や裏切りを経験して、スカラマシュになると不安と回避の傾向が強くなります。仲間や部下は信用できませんし、自分のことも嫌いです。当然他人も自分を嫌いになるだろうと考えているので、基本的に人当たりが非常に悪いですよね。
たぶん、この頃のスカラマシュにあなたが出会ったら「あ、ちょっとやばそうな人だなぁ〜」「ちょっと面倒くさそうだな」って雰囲気でなんとなくわかると思います。結構、他人からの視点で判断できるんですよ。
で、最終的に放浪者になるわけですが、彼はだいぶ安定型に戻ってきます。
自分の高い能力を信じることができていますし、誠実に接してくれるナヒーダや旅人という相手も得ました。彼の心をがんじがらめにしていた過去のしがらみも、歴史の上からは一旦消去されて、少しだけ気持ちが軽くなっているような印象を受けます。
自分の過去と罪はしっかりと理解しているため、多少不安型の傾向はありますが、回避型の傾向はかなり下がりましたよね。実際、教令院の後輩たちからは慕われるようになっているみたいですし。
ビッグファイブ、ダークトライアドの性質と合わせて見てみてると彼の変化がより立体的にわかって面白いですよね。
ツンデレ感について
もう一つ、性格を掘り下げる上で興味深い点を共有しておきます。
それはツンデレ感。 放浪者のように、 本心は優しいのに、 表面上冷たく態度を表明する人っていますよね。 その場合、 性格特性はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、 性格が2重で存在しているような状態になります。
人間は様々な性格特性を切り替えながら生活しているんですね。 例えばあなたも、 仕事場にいる時、 恋人と一緒にいる時、 親のいる実家に帰ったとき、 小さな子供と接する時、 それぞれ性格が違うはずです。
普段はちょっとだらけた性格をしていたとしても、 仕事のシーンでは少しだけしっかりとする場合が多いんじゃないでしょうか。
つまりその場合、 誠実性はやや低めなのですが、 仕事の間だけ少し高い誠実性を発揮することになります。
基本になる性格と、 場面ごとに引き出される性格がそれぞれあるような感じですね。 これをインナーパーソナリティーといいます。
私たちは性格のユニットを持っているようなもので、 場面場面に合わせて様々な性格を切り替えながら生きているんです。
よく漫画やアニメなどに登場するツンデレは、まさしくわかりやすい例。 本当はデレのほうの性格がメインなのですが、 外面上ツンとしているわけです。
放浪者も、本来の性格は非常にやさしいのですが、ツンツンしているときは「自分はこういう性格である」と定義して達振る舞っているわけですね。スカラマシュ時代もその延長です。心根はやさしいはずなんですが、様々な経験や置かれた環境のせいで自分に対する性格の定義が「スカラマシュの性格」になっているかんじ。
なので、性格を判断する時は、置かれた状況や立場なども加味したうえで、その瞬間瞬間の性格を見るといいでしょう。また、いろいろな状況によって振れ幅があるので、その平均あたりが基本の性格、みたいに考えるとわかりやすいと思います。
例えば、仕事中にいくらスイッチが切り替わるからといって、真逆な性格まで変化することはほとんどありません。僕も非常に内向的な性格ですが、仕事スイッチが入ってる時は外向性が高くなります。ただし、根っからの陽キャみたいにはなれません。あくまでちょっとブーストされてるだけですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
放浪者は物語を通して性格がかなり変化したキャラクターでしたよね。優しい性格をしていましたが、それ故に強烈な裏切り体験によって攻撃性が高くなりました。また、そういった性格に自己を定義することである意味自分を守ってきたのだと思います。
自分はひどい存在だから、信用するに値しないし、まわりもまた信用できない。そのように考えることで傷つくことを避けるための逃避行動の一環だったとも捉えられるのではないでしょうか。
しかし、彼の心根はやさしい性分だったので、そのギャップにだんだん耐えられなくなり、計画の破綻とともに自分の存在を消したいとまで考えるようになりました。
最終的に、自分を認めてくれるナヒーダや旅人が現れたことで、本来の性格が徐々に出てくるような感じになっていましたね。過去の立ち振舞が悪かったので、突然傾奇者みたいにはなりにくい気恥ずかしさがあるものの、徐々に本来のやさしい性格が出てきている感じがとても良いキャラクターだと思います。
このように、性格が変化したり、一時的に別の性格に見えたりすることもあったりします。そういった場合も理論的に観察すると面白い変化や、一貫した部分に気づけたりするので、面白いですよね。
というわけで、放浪者の理解を手助けできる動画になっていれば幸いです。
この動画が良ければ、チャンネル登録・高評価お願いいたします。
また、不定期に更新しているので、通知のベルマークをONにしていただけると見落としがないかと思います。それでは、今回の情報も、あなたが原神を楽しむための一助として、参考まで。
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