バージョン4.1来ましたね〜。楽しんでますか?
早速僕もプレイしたんですが、序盤に登場した「召使」とフリーナ・ヌヴィレットの会話が非常に良くできていたので心理学的に解説したいと思います。
現実世界でも使うことができるテクニックなので、ぜひ活用してみてくださいね。
というわけで、本動画はネタバレを含みます。魔神任務第四章三幕「深海に煌めく星たちへ」の導入部分を引用します。最初だけちょろっとプレイすれば見られる部分で、物語的には大したネタバレ内容ではありませんが、ネタバレ無しで楽しみたい人は見てから本動画に戻ってきてくださいね。
ちなみに、心理学的なテクニックというのは物語にリアリティをもたせることにも一役買っています。近代的な心理学は統計学でできていて、「特定の条件下であれば高確率で〇〇する」みたいなものの寄せ集めです。
簡単に言い換えると、「だいたいの人間がやりがちなリアクションの研究」みたいな感じだったりするんですね。
なので、心理学的に正しいテクニックを会話に盛り込むことで、現実にありそうな会話の展開を作ることができるんですね。物語を書いたりしてみたい人にはかなり参考になると思うので、そういう目線でも見てみてください。
では早速言ってみましょう。
「召使い」とヌヴィレット・フリーナの会話
まずは該当シーンを振り返ってみましょう。
はい、旅人とパイモンがヌヴィレットに会いに来た所で入る回想シーンとなっています。非常に緊張感のあるやり取りですよね。お互いに交換条件を出し合うような構図になっていることがわかったと思います。
今度は構造を分解しながら見ていきましょう。
アンカリング効果と主導権
まずは導入部、召使いは「お茶会のつもりで来たんですよ〜」という態度を示します。
コレには大きく3つの効果があるといえるでしょう。その一つがアンカリング効果。先に得た情報に思考が引っ張られてしまう現象です。
例えば買い物をする時に、「定価10万円のところ、5万円です」と言われるとなんだか得な気がしますよね。
前情報なしに「5万円です」と言われるよりも得してる感覚が強いはずです。
これがアンカリング効果。支払う額は5万円で一緒なのに、先に10万円の情報を入れることで対比関係を産んでお得に感じさせる意味があります。
「召使」は先んじて「今日の会はお茶会ですよ」と基準を設定することで空気感の基準を打ち込んだですね。会話において先に挨拶をしたり、場の空気感を決定する行為は主導権を取る上で非常に重要です。場所はアウェーでありながら空気感を支配する行動から仕掛けていく手腕はさすが執行官って感じがしますよね。
そして、この一手はさらに次の効果に繋がります。
返報性の法則
次の注目ポイントは”手土産”です。
「召使」はただ交渉に来ただけではなく、しっかりケーキを持ってきていました。ここで、先程のお茶会発言が効いてくるわけですね。効果の2つ目です。
お茶会である、という前提があればお茶菓子持参でも何ら違和感はありません。また、フリーナのスイーツ好きという特徴に合わせている点も非常にポイントが高いでしょう。
人間には、返報性という非常に強力な性質があります。簡単に言えば「お返しをしないといけない」と感じる心の働きです。
あなたも、贈り物をもらったらなんだかお返しをしないといけない気分になったことがあるんじゃないでしょうか。もしくは、嫌がらせをされたらなんだかやり返してやりたくなった経験があるかもしれません。
こういった”同質のものを返したくなる気持ち”が発生する性質を返報性といいます。
つまり、交渉の場で”先にプレゼントをあげる”というプラスの行為を行うことで、相手から良い返事が貰える確率がグッと上がるわけです。
なので先に手土産を渡すことが非常に有効なんですね。
つまり、お茶会という建前を設定して空気感を掌握した上に、さらにその建前を利用してプレゼント攻撃をすることで交渉を有利に運ぶ完璧なスタートを切っているんです。
まあ上手ですね。そして、コレにはさらに恐ろしい強みがあるのです。
ドア・イン・ザ・フェイステクニック
会話のスタートは「召使」のペースでしたが、ここでヌヴィレットが空気をぶった切って「タルタリヤの件で来たんでしょ?」と本題に入ります。
ちょっと空気が悪くなる感じはありましたが、ヌヴィレットに合わせてタルタリヤの件で会話を始めていく「召使」。そして、タルタリヤの身柄の引き渡しを要求します。
ところが、さらにこれは断られてしまうことになりました。
なんだかうまく行っていないように感じますが、それは違います。完全に「召使」の狙い通りの展開と言っていいでしょう。
ここで一旦、フォンテーヌ陣営の「気まずさ」に注目してみてください。相手はスネージナヤの高官であり、身分が高い存在です。さらに、自国であるフォンテーヌでもそれなりに名が通った存在と言えますよね。
そんな相手が、手土産まで揃えて会話に来てくれたにも関わらず、会話の腰を折り、更には相手の要求をどストレートに断っているのです。ヌヴィレットはやや人の心に疎いようですが、それでも十分に気まずさを感じるレベルといえます。
この「気まずさ」を回避するために、相手の要求を飲んでしまうことがあり、それを利用した交渉術がドア・イン・ザ・フェイステクニックと言います。
これは、最初に相手へ高い要求を突きつけ、断られたことを利用して、一段低い要求を通しやすくするテクニックです。
例えば友達に「夏休み10日間ディズニーに泊まろうよ!」なんて提案をしたら、期間が長いし料金は高いしで断られてしまうでしょう。そこで、「じゃあ日帰りでいいからバーベキュー行かない?」と提案すれば断ってしまった気まずさや、最初の提案からの落差で軽いものに感じてしまい通りやすくなるんです。
ここでは、「召使」が”タルタリヤの返還”というフォンテーヌの裁判システムに反した無理難題をあえて吹っ掛けることで、ヌヴィレットに狙い通り断らせました。次に一歩譲歩した提案をすることでそちらの”本命”を通しているんですね。いや、非常に上手。あっぱれです。
表面上「いい人である」ということが重要
以上が主な骨格となっています。それをわかった上で細かいポイントを見ていくと、相手を気まずくさせるポイントが要所要所にあることがわかると思います。
例えば、相手を”ちゃんと褒める”ポイント。
ヌヴィレットの名声をしっかりと際立たせた上で、会話の端々で持ち上げる発言をしています。さらに、その発言に絡めつつ、先日リネたちが迷惑をかけた点にも触れて、気まずさを想起させていますね。とはいえ、それも利用して「いやいや、気にしていないんですよ。ファデュイの印象というのもありますから、難しいもんですね」みたいに自信の気さくさ、寛大さ、そして相手の立場への理解を示します。
これをされた上で要求を断るってのはかなり難しいですよね。
ファデュイには、”武力による脅し”を使って交渉を進めるタイプが多かったですが、「召使」は心理的な交渉術を使って優位に立つことができるタイプですね。
ところで、こういった交渉術は武力を使わないでいい分、日常生活でも利用されやすい人間の性質でもあります。騙されたりしないように、自己防衛のためにも覚えておくといいでしょう。
では最後に、文字補足つきでもう一度通しで会話を見てみましょう。
はい、実に見事な会話でしたね。今後も登場するたびにキレッキレの交渉を見せてくれそうで個人的にワクワクしてますw
また面白いコミュニケーション術が出てきたら解説しようと思うので、楽しみにしていてください。
それでは今回の情報も、あなたの会話の参考まで。
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