パスタは食べたい!
でも、電子レンジでパスタを茹でるといまいちおいしくない___
そんな定説を覆します。
今回お届けする内容はこちら
鍋やコンロのない状況でもパスタが食べられる。それは最高!でも味がイマイチ問題・・・
こんにちは。小林嘉明です。
パスタ好きの人は、どこでもパスタが食べたいものです。僕もそんな1人でした(笑)
職場で、研究室で、自宅で、少ない手間でおいしいパスタが食べられるなんて最高ですよね!
でもって、一食あたりの食費がかなり抑えられるのも素晴らしいところ。
そんなパスタ好きが当然注目するのが『電子レンジパスタ茹で器』。要するに、電子レンジの熱でパスタを茹でてしまえる道具です。
いろいろな形状の商品があるので、持っている人も多いのではないでしょうか?
ただ、作ったことがある人はわかると思います。なんというか、あんまりおいしく作れないんですよね。
そこで、条件や分量を変えながらおいしいパスタが茹でられるまで研究した僕の成果を発表します。
このルールを守れば、鍋で茹でた味にも遜色ないパスタを簡単に食べることができます!よかったら試してみてくださいね!
電子レンジパスタはお湯で作ればおいしくなる
結論から言いましょう。
電子レンジパスタはお湯から作ると美味しいです。
どういうことだよ?
鍋がないから電子レンジパスタにするんだろ?
そう思う気持ちもわかります。ですが、意外と簡単にお湯から作ることはできますし、やってみると非常においしいです。
- 給湯器からお湯を出して使ってもいいですし
- 電気ケトルを使ってもいいです
- それすらないなら、水だけ先にチンして温めてもOK
色々方法はあるんですよ。
そして、その仕上がりには雲泥の差があると言っても過言ではないでしょう。
また、家庭で行う際も、電子レンジでゆでることによって得られるメリットが出てきたりします。
ぜひ1度試してみて欲しいんです。早速紹介しますね。
KOBATONE式、電子レンジパスタレシピ
- あらかじめお湯を沸かしておく
- 電子レンジパスタ容器に、乾麺、塩、熱湯を入れる
- 乾麺パッケージ記載の茹で時間ジャストでチンする
これだけです。簡単でしょ?
ちなみに塩は5g、熱湯は1リットル程度入れます。容器によって入らないかもしれません。ちなみに僕が使ってるのは下記。
大切なことは『お湯はなるべくたくさん』入れて、そのお湯に対して0.5~0.7%の塩を入れることです。
容器にはパスタの量ごとに水の分量が書いてあります。しかし麺の量に関わらず、熱湯は多いほうが美味しいです。この容器では四人前が最大量ですが、常に四人前の分量で熱湯を入れています。
電子レンジパスタは鍋で作るよりも麺がくっつきやすいので、なるべく水分が多いほうが予防になるためです。(詳しくは後述)
後は好きなソースと絡めて召し上がれ。
やる事は非常に単純なんですが、仕上がりにめちゃくちゃ大きな差が生まれます。
ここからはその理屈を解説していきますね。
電子レンジパスタ、普通の作り方
ほとんどの電子レンジパスタは、パッケージや容器に作り方が書いてあります。
水と麺を決まった量でセットして、ゆで時間をパッケージ表記の時間+ 2分くらいで行うものが多いです。
ところが、水からゆでると何故か美味しくありません。
分量は鍋で茹でる時と同じなのに、不思議ですよね。
僕は、美味しさのヒントが塩分とミネラル、そして温度にあると予測しています。
おいしいパスタには塩とミネラルが不可欠
そもそも『美味しいパスタ』とはなんでしょう?
いろいろな定義はあると思います。今回は麺のお話なので、麺の質に限定した内容にしましょう。
ここで言う『おいしい麺』とは、
- しっかりと火が通っていて
- プリっとした食感があり
- 適度な塩味を感じられる状態
のことです。
もちろん、『アルデンテ』のように『芯を残す』テクニックもあります。
ただ、厳密にしすぎると話が複雑になりすぎますので、アルデンテも『しっかりと火が通っている』くくりで一旦考えていただけると良いでしょう。
それぞれ科学的に解説していきます!
条件1『しっかりと火が通っている』糊化と浸水の科学
糊化
乾麺は茹でることで食べられるようになります。ゆでる前はカチカチで、食べてみても全く美味しくありません。
ところが、茹でるだけでモチモチとした食感に変化します。
お米も似た感じですよね?
炊く前はカチカチなのに、調理するとふわふわになります。似てますね。
そう、実はこの2つ、同じ現象なんです。
『糊化』(こか)と言います。
読んで字のごとく、ノリのようになる現象で、独特の粘りや柔らかさが生まれる現象です。
パスタの主成分は、アミロースとアミロペクチン。ざっくり言えば、デンプンのお仲間。
アミロースは水に溶けやすい性質です。パスタを茹でたあと、茹で汁を見てみると少し白く濁っていますよね?
あの濁りが『アミロースが水に溶けている状態』なんですよ。
アミロースが水に溶けてしまうと、乾麺のもともとアミロースがいた部分に水が入り込みます。
そして、アミロペクチン+水+加熱によって『糊化』が起きるんですね。
(厳密にはアミロースも糊化しますが、分かりやすさのため、無視すると吉)
つまり、モチモチでおいしいパスタとは、『中心部までしっかりと水が行き渡り、加熱されたことにより、全体がしっかり糊化している麺』と言えます。
麺には当然表面から徐々に水が浸透するので、ゆで時間を調整することにより、芯を残すことができます。つまりこれがアルデンテ。
水パスタも糊化させている点は同じ
僕が以前紹介している水パスタの記事では、水につけた乾麺は数十秒で加熱処理が終わることを書きました。
(水パスタとは、水で乾麺を戻してから調理する手法。時短やモチモチ食感が得られる)
つまり、水で戻した場合も『麺の内部まで水が入り込み、その後で加熱して糊化させる』ので、本質的には茹でるのと同じ現象を起こしているんですね。
水が麺の内部まで入る時間を浸水によって補っているので、加熱さえすれば食べられてしまうというワケ。
さて、麺のモチモチ感についてはわかりましたね?
次はプリプリ感について掘り下げますよ!
条件2&3『プリプリ食感』塩味とミネラルの科学
塩のないパスタはイマイチ
さて、次は塩のお話。
ここで質問なんですが、塩を入れずにパスタを茹でたことがありますか?
僕は試しにやってみたことがあります。
結論から言えば、『非常に美味しくない』です(笑)
モチモチ感はあるものの、なんだかベチャッとしていて、ハッキリしない物体になってしまいます。
あの、プリプリ食感がないんですよ。
後から塩をかけても、やっぱり違う…
で、いろいろ調べたところ、これにはミネラル成分が大きく関わっているとのこと。
硬水と軟水
イタリアで作られるパスタが美味しい要因のひとつが『硬水』にある、って説はかなり強くて、こだわってるパスタ店は茹で水を硬水にしてたりします。
硬水とは、ミネラル分を多く含む水。日本の水は軟水といってミネラル分が少ないことが特徴で、真逆の性格をもってるんですよ。
なかでも、ミネラルのひとつ、カルシウムがパスタのデンプンと結合してプリプリ感を作るんだ、って説がよく言われてます。
ただ、しっかり検証した科学論文がみあたらず、正確なことはわかりません。
一応、食塩やミネラルの含有量でパスタの吸水特性が変わるよ、って論文はあるので貼っておきますね(下記)吸水特性が変わる、ってことは堅さのコントロールができるってことなので、一応近い話ではありそう。
Effect of Salts on the Water Sorption Kinetics of Dried Pasta
岩塩はミネラル分を含むので、美味しいパスタにオススメ
個人的な検証ですけど、海塩と岩塩で茹でた場合を比較してみたことがあります。
海塩は一般的にミネラルが少なく、岩塩はミネラルを豊富に含みます。なので、岩塩を使用すれば『硬水+塩』の状況に近くできる、と考えたわけですね。
結果は岩塩のほうがプリプリ感が強く、ほんのり苦味が入ることで味に深みが感じられました。
そういった体験則からいっても、ミネラル分が多いとプリプリに麺を仕上げることができるのは間違いなさげ。
なので、塩味とプリプリ感は塩が重要ってことですね。特に岩塩がオススメです。
ちなみに僕はヒマラヤ岩塩を使っています。
水から作る電子レンジパスタが美味しくない理由
以上を踏まえた上で、もう一つ電子レンジパスタが美味しくならない理由があります。
それが『対流』。
大きな鍋と違って電子レンジパスタでは麺が『泳ぐ』ことがありません。つまり、麺が密着してくっつきやすく、隙間も開かないのでミネラルや塩分が均等に行き渡らないわけです。
電子レンジパスタで麺がくっつかないためには『沸騰』が重要になります。ボコボコ沸騰していれば、多少でも麺の隙間に水やミネラルが行き渡るわけですね。
冷水から調理してしまうと、かなり長い間沸騰しません。しかし、その間にも吸水は行われていて、糊化も温度上昇とともに進行します。しかも、冷水のため塩が全て溶けているわけではなく、温度上昇に伴って徐々に溶けていきます。
つまり、美味しくなるための要素である
- 糊化
- 適度なミネラルと塩分
が均等に行き渡らない状態になってしまうことが最大の原因です。
そのため、最初から熱湯を入れて調理することで
- すぐに沸騰して対流がうまれる
- 塩もすぐに溶けて行き渡る
- 均等に糊化とミネラルの補給が行われる
という仕組みが実現でき、おいしく作れるわけです。
電子レンジパスタはお湯から作ればおいしくなる
はい、というわけで、電子レンジパスタはお湯から作ると美味しい理由を説明してきました。
最後にもう一度まとめると
- お湯を用意する(だいたい1L)
- 岩塩を0.5%程度の濃度で入れる
- パスタと岩塩、お湯を容器の最大量まで入れて
- 乾麺パッケージの茹で時間ジャストでチン!
これで美味しいパスタの出来上がりです!
後はお好みの味をつけて食べてくださいな。
ちなみに、家庭でもかなり便利な点があるので、さいごにちょっと紹介。
コンロの口が空けられる
鍋で作るのとそこまで遜色ないパスタが茹でられる、ということは、鍋を使わなくてもいい、ってことでもあります。
パスタって、茹でる鍋+ソースを作る鍋でガスコンロを二口使っちゃうのが難点。他の料理ができません。
ところが、電子レンジパスタで済むなら、麺の調理は電子レンジにおまかせ。二口のコンロはソースともう一品作れちゃう。
これは結構助かります。
洗い物も少ないし。最初は余裕ないと思いますが、慣れてきたらぜひ取り入れてみてくださいね!
ではまた別の記事で!
kobatone 小林嘉明
ぱすたん says
逆です。海塩は一般的にミネラルが豊富で、岩塩はミネラルが少ない傾向にありますよ!!
yoshiaki-kobayashi says
ありがとうございます!
僕ももちろん全てを知ってるわけではありません。さらに生成方法にもよると思います!
情報ありがとうございます!